和の記号Σ (シグマ)・その2
和の記号 \(\varSigma\)(シグマ)による和の公式
今まで学習してきた数列の和の公式を、シグマを用いて表すと以下のようになります。
\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } c=nc\)
\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } k=\displaystyle \frac{1}{2}n(n+1)\)
\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } k^2=\displaystyle \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\)
\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } k^3=\{\displaystyle \frac{1}{2}n(n+1)\}^2\)
\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } ar^{k-1}=\displaystyle \frac{a(1-r^n)}{1-r}\)
ただし、\(r \neq 1\)
すべて今まで学習してきた公式ですよ。
全部覚えています!!と言えますか?
\(\varSigma\)(シグマ)にびびってしまって、頭の中が真っ白になっている人いませんか?
\(\varSigma\)(シグマ)なんてただの約束記号です。
ただの暗記ものです。
上の \(5\) つの式は、シグマという新しいルールから得られるものではありません。
今まで学習してきた「既知の式」を、シグマという表記で表し直しただけです。
つまり、改めてシグマを使って計算、証明したりすることではなく、
ただ公式として暗記するだけのものたちです。
例えば \(1\) つ目の式
\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } c=nc\)
なんて、
\(\underbrace{c+c+c+\cdots+c}_{ n個 }=nc\)
という式をシグマで表記しただけです。
\(k\) がどこにもなくて戸惑うかもしれませんが、結局は暗記です。
この記号はこれを表す、と覚えてください。
例題1
次の和を求めなさい。
(1)\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ 10 } k\)
(2)\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ 12 } k^2\)
(3)\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ 10 } (-2)^k\)
(4)\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } 2^{k+1}\)
解答
(1)\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ 10 } k=1+2+3+\cdots+9+10\)
\(=\displaystyle \frac{1}{2}\cdot10(10+1)=55\)
(2)\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ 12 } k^2= 1^2+2^2+3^2+\cdots+11^2+12^2\)
\(=\displaystyle \frac{1}{6}\cdot12(12+1)(2\cdot12+1)=650\)
(3)\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ 10 } (-2)^k\)
\(=(-2)^1+(-2)^2+(-2)^3+\cdots+(-2)^{10}\)
\(=\displaystyle \frac{-2\{1-(-2)^{10}\}}{1-(-2)}\)
\(=682\)
(4)\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } 2^{k+1}\)
これは、ちょっと注意が必要です。
\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } 2^{k+1}=\displaystyle \frac{2(1-2^{n+1})}{1-2}\)
これだと間違っているのですけど、どこが間違っているかわかりますか?
まず、下の赤字部分が違います。
この赤字の箇所は、数列の初項でないといけません。
この数列の初項は、\(2^{1+1}=4\) ですね。
さらにあと \(1\) 箇所、間違いがあります。
下の赤字部分が違います。
ここは、足し合わせる項の数が入る場所です。
ですから、\(2^{k+1}\) の指数の \(k+1\) につられてはいけません。
基本的なことですが、勘違いしやすい箇所です。気をつけましょう。
では改めて、正しく解きましょう。
\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } 2^{k+1}=\displaystyle \frac{4(1-2^n)}{1-2}\)
\(=4(2^n-1)\)
公式に慣れる、ただそれだけの問題です。
\(\varSigma\)(シグマ)にびびらないで下さいね。