三角比の拡張・単位円
単位円の導入
直角三角形の辺の比から三角比を定義しました。
当然ですが、 θ は鋭角の範囲に限られていました。
しかし・・・
100° とか 250° とか、そんな角にも三角比を使えるようにしたい!
つまり、より広い範囲に適用できるようにしたい。
このように、三角比の拡張について考えます。
しかし・・・250° なんて三角形の内角には不可能です。
そんな拡張なんて無理な気がしますね。
この拡張のための突破口となるのが、斜辺の長さが 1 の直角三角形です。
角度とは回転である
斜辺の長さが 1 の直角三角形は無数にあります。
θ の大きさによって無数にあります。
ここで
θ の大きさを、どんどん大きくしていく
ということを考えます。
これって、つまり「回転」です。
これって 長さ 1 の線分が回転しているようではないですか!!
三角比って、円と関係するんですね!!
回転の中心を座標平面の原点におくと・・・
おお!!座標と相性ばっちりです!!
これこそが三角比の拡張版
単位円による三角比の定義です。
単位円とは、半径が 1 で、中心が原点の円のことです。
半径 1 の線分 OP が、(1,0) をスタート地点として、
反時計回りに θ 回転したとき、
その線分の端、点 P が到達した地点の座標を (cosθ,sinθ) とします。
この定義に従えば、「直角三角形の内角」にしばられることなく、sin120° や、cos150°を求めることができます。
つまり、90° を超えた角に対して、三角比を定義することができるわけです。
ちなみに、水色の直角三角形の辺の比から、点 P の座標が求まります。
点 P の x 座標 =cos120°=−12
点 P の y 座標 =sin120°=√32
もちろん、tan120°=y座標x座標=−√3
となります。
1 次関数の傾きとまったく同じものです。
OP の傾きが tanθ です。
例題1
(1)135° の正弦、余弦、正接の値を求めなさい。
(2)150° の正弦、余弦、正接の値を求めなさい。
解説
で、結局出題されるのは有名角です。
30°,45° が関係する角のことです。
今まで通りに、三角定規の辺の比を用いて、三角比を求めます。
現カリキュラムでは、数学Ⅰにおいては、180° までの角を扱います。
数学Ⅱにおいて 180° を超えた角まで扱います。
このページでは、 180° までの角を説明しますが、
180° を超えた角の三角比も上で説明した内容とかわりはありません。
(1)135° の正弦、余弦、正接の値
135° 回転した OP を単位円上にとります。
※作図は半円で十分ですね。
点 P の 座標は、直角三角形の辺の比からわかります。
点 P の x 座標 =cos135°=−1√2・・・負ですよ!
点 P の y 座標 =sin135°=1√2
このように、作図して求めます。
完全丸暗記をする必要はありません。
もちろん、tan135°=y座標x座標=−1
となります。
(2)150° の正弦、余弦、正接の値
150° 回転した OP を単位円上にとります。
※作図は半円で十分ですね。
点 P の 座標は、直角三角形の辺の比からわかります。
点 P の x 座標 =cos150°=−√32・・・負ですよ!
点 P の y 座標 =sin150°=12
tan150°=y座標x座標=−1√3
となります。
以上、結局は有名角の三角比しか扱いません。
90° から 180° の間の角としては、120°,135°,150° のみです。