条件つき確率

条件つき確率

条件つき確率

事象 \(A\) が起こったときに、事象 \(B\) が起こる確率を条件つき確率といい \(P_{A}(B)\) で表します。

\(P_{A}(B)=\displaystyle \frac{P(A \cap B)}{P(A)}\)

※\(P(A \cap B)\) は \(A,B\) がともに起こる確率


公式で覚えるというよりも、条件つき確率の意味を理解しましょう。

当たり前のことしか言っていないことがわかります。

具体例を見ていきましょう。


さいころを \(1\) 回ふり、出た目を予想する。
\(A\) くんは、\(3\) 以下の目が出ると予想した。
\(B\) くんは、奇数の目が出ると予想した。

すると、\(B\) くんの予想が当たった。
このとき、\(A\) くんの予想が当たっている確率を求めなさい。

解説
\(B\) くんの予想が当たったという条件下の\(A\) くんの予想が当たっている確率です。
解いていきましょう。

\(B\) くんの予想が当たったのだから、出た目は \(1,3,5\) のいずれかであることが確定しています。
この \(3\) 択の中で、\(A\) くんの予想が当たっている確率を求めるのです。

\(A\) くんは、\(3\) 以下の目が出ると予想しているので、\(1,3\) ならば予想的中です。

つまり、\(1,3,5\) のうち、\(1,3\) ならば予想的中なので、

今回の条件つきの、\(A\) くんの予想が当たっている確率は、\(\displaystyle \frac{2}{3}\)

これが条件つき確率です。
意味さえ分かれば簡単ですね!

公式なんていらないと思いますが、一応確認しておきましょう。

\(A,B\) ともに予想的中する確率を\(P(A \cap B)\) とすると、出た目が \(1\) か \(3\) のときなので、

\(P(A \cap B)=\displaystyle \frac{2}{6}=\displaystyle \frac{1}{3}\)

\(B\) が予想的中する確率を\(P(B)\) とすると

\(P(B)=\displaystyle \frac{3}{6}=\displaystyle \frac{1}{2}\)

より、\(B\) が的中したときに、\(A\) が的中する条件付き確率は、

\(P_{B}(A)=\displaystyle \frac{P(A \cap B)}{P(B)}=\displaystyle \frac{\frac{1}{3}}{\frac{1}{2}}=\displaystyle \frac{2}{3}\)

先の答えと一致します。

ちなみに、
「\(B\) くんの予想が当たった」という条件がなければ、\(A\) くんの予想が当たっている確率はもちろん、\(\displaystyle \frac{3}{6}=\displaystyle \frac{1}{2}\) となります。

しかし、今回は条件つき確率なので、この話は一切関係ありません。

例題1

赤玉 \(3\) 個、白玉 \(2\) 個の入った袋から、\(1\) 個ずつ玉を \(2\) 個取り出す。
\(2\) 個目の玉の色が白だったとき、\(1\) 個目の玉の色が赤であった確率を求めなさい。

解説

\(2\) 個目の玉が白ということは、
(赤、白)
(白、白)
という \(2\) パターンの取り出し方があります。

赤玉に、ア、イ、ウと名前をつけます。
白玉に、1,2と名前をつけます。

(赤、白)

\(2\) 個の取り出し方は全部で、
\(3×2=6\) (通り)です。

(ア、1)
(ア、2)
(イ、1)
(イ、2)
(ウ、1)
(ウ、2)

(白、白)

取り出し方は、
\(2\) (通り)です。

(1、2)
(2、1)

以上より、\(2\) 個目の玉の色が白である取り出し方は、\(6+2=8\) 通り

その中で、\(1\) 個目の玉の色が赤である取り出し方は、\(6\) 通り

より、求める条件つき確率は

\(\displaystyle \frac{6}{8}=\displaystyle \frac{3}{4}\)

以上求まりました!意味さえわかれば、とても簡単ですね!

別解・公式で解く

\(2\) 個目の玉の色が白である確率を分母とし、

\(1\) 個目の玉の色が赤かつ \(2\) 個目の玉の色が白である確率を分子として求めます。

赤、白と取り出す確率

\(\displaystyle \frac{3}{5}×\displaystyle \frac{2}{4}=\displaystyle \frac{3}{10}\)

白、白と取り出す確率

\(\displaystyle \frac{2}{5}×\displaystyle \frac{1}{4}=\displaystyle \frac{1}{10}\)

より、\(2\) 個目の玉の色が白である確率は、

\(\displaystyle \frac{3}{10}+\displaystyle \frac{1}{10}=\displaystyle \frac{4}{10}\)

これを分母とします。

\(1\) 個目の玉の色が赤かつ \(2\) 個目の玉の色が白である確率 \(\displaystyle \frac{3}{10}\) を分子にします。

より、求める条件つき確率は

\(\displaystyle \frac{\frac{3}{10}}{\frac{4}{10}}=\displaystyle \frac{3}{4}\)

参考・確率の乗法定理

事象 \(A\) が起こったときに、事象 \(B\) が起こる確率を条件つき確率 \(P_{A}(B)\) は、

\(P_{A}(B)=\displaystyle \frac{P(A \cap B)}{P(A)}\)

でしたが、この式の両辺に \(P(A)\) をかけると、

\(P(A)\cdot P_{A}(B)=P(A \cap B)\)

となります。これこそが「確率の乗法定理」です。

\(A\) の起こる確率 \(P(A)\) と、
\(A\) が起こったときに、\(B\) が起こる確率 \(P_{A}(B)\) の積が

\(A\) かつ \(B\) の起こる確率 \(P(A \cap B)\) となる。

以前、樹形図で確認したものです。

  • 確率をかけ算するとき
  • 言葉、式だけで理解を伴わないものを暗記するよりも、樹形図による感覚的な理解をしましょう!