漸化式2 階差数列型
階差数列の漸化式
これは、数列 \(\{a_{ n }\}\)の階差数列の一般項は \(f(n)\) という意味の漸化式です。
よって、
\(a_{ n }=a_{ 1 }+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } f(k)\)
\(f(n)\) は \(n\) の多項式ということです。
このタイプの漸化式は、\(a_{ n }\) の係数が \(1\) であることが重要です!!
具体例を見て学習していきましょう。
\(a_{ 1 }=1\)
\(a_{ n+1 }=a_{ n }+3n-1\)
の一般項を求めなさい。
\(\{a_{ n }\}\) の階差数列 \(\{b_{ n }\}\) が \(3n-1\) であるという意味の漸化式です。
はじめてですし、ていねいに見ていきましょう。
まずは、\(\{a_{ n }\}\) がどんな数列なのか見てみましょう。
\(a_{ 1 }=1\)
\(a_{ 2 }=a_{ 1 }+3\cdot1-1=3\)
\(a_{ 3 }=a_{ 2 }+3\cdot2-1=8\)
\(a_{ 4 }=a_{ 3 }+3\cdot3-1=16\)
\(a_{ 5 }=a_{ 4 }+3\cdot4-1=27\)
と続きます。
\(\{a_{ n }\}\) の階差数列 \(\{b_{ n }\}\) をとってみましょう。
\(\begin{eqnarray}\{a_{ n }\} &\hspace{ 8pt }& 1,\hspace{ 7pt }3,\hspace{ 7pt }8,\hspace{ 7pt }16,\hspace{ 7pt }27,\hspace{ 7pt } \cdots \\ \{b_{ n }\} &\hspace{ 8pt }& \hspace{ 10pt } 2,\hspace{ 7pt }5,\hspace{ 7pt }8,\hspace{ 11pt }11,\hspace{ 11pt } \cdots \end{eqnarray}\)
\(\{b_{ n }\}\) が等差数列になっていますね。
\(\{b_{ n }\}\) の一般項は、 \(3n-1\) です。
\(a_{ n+1 }=a_{ n }+f(n)\) の \(f(n)\) と一致していますね!
※\(a_{ n+1 }=a_{ n }+3n-1\)
改めてポイントです。
\(a_{ n+1 }=a_{ n }+f(n)\)
という漸化式は、「\({a_{ n }}\)の階差数列の一般項は \(f(n)\) 」という意味です。
しっかりと覚えましょう!
もちろん \(n \geqq 2\) のとき \(\{a_{ n }\}\) の一般項は
\(a_{ n }=a_{ 1 }+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } b_{ k }\)
です。
求めてみましょう。
\(n \geqq 2\) のとき
\(a_{ n }=1 +\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } (3k-1) \)
\(=1+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } 3k-\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } 1\)
\(=1+\displaystyle \frac{3}{2}(n-1)n-(n-1)\)
\(=1+\displaystyle \frac{3}{2}n^2-\displaystyle \frac{3}{2}n-n+1\)
\(=\displaystyle \frac{3}{2}n^2-\displaystyle \frac{5}{2}n+2\)
これは \(n=1\) でも成り立つ。
よって、
\(a_{ n }=\displaystyle \frac{3}{2}n^2-\displaystyle \frac{5}{2}n+2\)
例題1
次のように定義される数列 \({a_{ n }}\) の一般項を求めなさい。
\(a_{ 1 }=1\)
\(a_{ n+1 }=a_{ n }+n^2-2n\)
解説
数列 \(\{a_{ n }\}\) の階差数列 \(\{b_{ n }\}\) の一般項が、\(n^2-2n\) です。
\(n \geqq 2\) のとき \(\{a_{ n }\}\) の一般項は
\(a_{ n }=a_{ 1 }+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } b_{ k }\)
\(=1+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } (k^2-2k)\)
\(=1+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } k^2-2\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } k\)
\(=1+\displaystyle \frac{1}{6}(n-1)n\{2(n-1)+1\}\)\(-2\cdot \displaystyle \frac{1}{2}(n-1)n\)
\(=1+\displaystyle \frac{1}{6}n(n-1)(2n-1)-n(n-1)\)
\(=1+n(n-1)\{(\displaystyle \frac{1}{3}n-\displaystyle \frac{1}{6})-1\}\)
\(=1+\displaystyle \frac{1}{3}n^3-\displaystyle \frac{7}{6}n^2-\displaystyle \frac{1}{3}n^2+\displaystyle \frac{7}{6}n\)
\(=\displaystyle \frac{1}{3}n^3-\displaystyle \frac{3}{2}n^2+\displaystyle \frac{7}{6}n+1\)
\(=\displaystyle \frac{1}{6}(2n^3-9n^2+7n+6)\)
これで終了で良い気もしますが、これは因数分解ができます。
\(=\displaystyle \frac{1}{6}(n-2)(n-3)(2n+1)\)
これは \(n=1\) でも成り立つ。
よって、
\(a_{ n }=\displaystyle \frac{1}{6}(n-2)(n-3)(2n+1)\)
例題2
次のように定義される数列 \({a_{ n }}\) の一般項を求めなさい。
\(a_{ 1 }=2\)
\(a_{ n+1 }=a_{ n }+3^n+1\)
解説
数列 \(\{a_{ n }\}\) の階差数列 \(\{b_{ n }\}\) の一般項が、\(3^n+1\) です。
\(n \geqq 2\) のとき \(\{a_{ n }\}\) の一般項は
\(a_{ n }=a_{ 1 }+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } b_{ k }\)
\(=2+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } (3^k+1)\)
\(=2+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } 3^k+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } 1\)
\(=2+\displaystyle \frac{3(1-3^{n-1})}{1-3}+(n-1)\)
\(=2+\displaystyle \frac{3-3^n}{-2}+(n-1)\)
\(=2+\displaystyle \frac{3^n-3}{2}+n-1\)
\(=\displaystyle \frac{1}{2}\cdot 3^n+n-\displaystyle \frac{1}{2}\)
これは \(n=1\) でも成り立つ。
よって、
\(a_{ n }=\displaystyle \frac{1}{2}\cdot 3^n+n-\displaystyle \frac{1}{2}\)