三角方程式・不等式・2倍角の使用
ポイント
\(\sin 2\theta(\cos 2\theta)\) と \(\sin \theta(\cos \theta)\) が混在している式は、
\(2\) 倍角の公式を用いて、角を \(\theta\) にそろえることをまず考えます。
そのような式変形をすれば、おのずと活路が見えてくる、そんな問題が出題されます。
その結果、\(\sin \theta\) あるいは \(\cos \theta\) だけの \(2\) 次式になる問題も多いです。
その後は \(\sin \theta=t\) あるいは \(\cos \theta=t\) などと置き換えて、
\(t\) の \(2\) 次方程式(不等式)の処理です。
ただし、\(t\) の取り得る値の範囲に注意しましょう。
例題1
\(0 \leqq \theta \lt 2\pi\) のとき、次の方程式 を解きなさい。
\(\sin 2\theta=\sqrt{3} \sin \theta\)
解説
\(\sin 2\theta=\sqrt{3} \sin \theta\)
\(\sin 2\theta\) に \(2\) 倍角の公式を適用します。
\(2\sin \theta \cos \theta -\sqrt{3} \sin \theta=0\)
\(\sin \theta( 2\cos \theta -\sqrt{3})=0\)
したがって、\(\sin \theta=0\)、\( 2\cos \theta -\sqrt{3}=0\)
より、\(\sin \theta=0\)、\( \cos \theta =\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}\)
\(0 \leqq \theta \lt 2\pi\) のとき
\(\sin \theta=0\) より、 \(\theta = 0,\pi\)
\( \cos \theta =\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}\) より、\(\theta = \displaystyle \frac{\pi}{6},\displaystyle \frac{11}{6}\pi\)
よって、求める解は
\(\theta = 0,\displaystyle \frac{\pi}{6},\pi,\displaystyle \frac{11}{6}\pi\)
例題2
\(0 \leqq \theta \lt 2\pi\) のとき、次の不等式 を解きなさい。
\(\cos \theta-\cos 2\theta \leqq 1\)
解説
\(2\) 倍角の公式で \(\cos 2\theta\) を変形します。
\(\cos 2\theta\) は \(3\) 通りの変形がありますが、ここはもちろん
\(\cos 2\theta=2\cos^2 \theta -1\) でしょう。
\(\cos \theta\) の \(2\) 次不等式になります。
※\(\cos \theta=t\) という置き換えをしないで解き進めています。
置き換えは、してもしなくてもかまいません。解きやすい方でOKです。
\(\cos \theta-\cos 2\theta \leqq 1\)
\(\cos \theta-(2\cos^2 \theta -1) \leqq 1\)
\(\cos \theta-2\cos^2 \theta +1 \leqq 1\)
\(\cos \theta-2\cos^2 \theta \leqq 0\)
両辺に \(-1\) をかけて
\(2\cos^2 \theta -\cos \theta \geqq 0\)
\(\cos \theta(2\cos \theta-1) \geqq 0\)
したがって、
\(\cos \theta \leqq 0\)、\(\displaystyle \frac{1}{2} \leqq \cos \theta\)
もちろん、\(-1 \leqq \cos \theta \leqq 1\) です。
よって、\(0 \leqq \theta \lt 2\pi\) のとき、
\(0 \leqq \theta \leqq \displaystyle \frac{\pi}{3}\)
\(\displaystyle \frac{\pi}{2} \leqq \theta \leqq \displaystyle \frac{3}{2}\pi\)
\(\displaystyle \frac{5}{3}\pi \leqq \theta \lt 2\pi\)