三角関数の合成・その1
三角関数の合成
\(a \sin \theta + b \cos \theta =\sqrt{a^2+b^2} \sin ( \theta+ \alpha)\)
ただし、\(\cos \alpha=\displaystyle \frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}},\sin \alpha=\displaystyle \frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\)
↑ 何が何だかわかりませんね。
様々な参考書にある「三角関数の合成のまとめ」ですが、わかりにくいったらありません。
当サイトの究極の説明 ↓ を読んでいってくださいね。
三角関数の合成のポイント!
ずばり結論を書きましょう。
三角関数の合成と密接に関連しているのは
「加法定理」なのです。
もう一度合成の式に登場してもらいましょう
\(a \sin \theta + b \cos \theta =\sqrt{a^2+b^2} \sin ( \theta+ \alpha)\)
この式は、
「右辺を加法定理を用いてバラせば、左辺になる」
と解釈することができます。
もちろん我々がこれからやることは、その逆、
「左辺のバラバラの三角関数を合成して、右辺を作り出すこと」
です。
つまり、三角関数の合成とは、
加法定理の逆操作なのです!
まずこれを頭にたたきこみましょう。
例えるならば、
三角関数の展開が加法定理、合成は、三角関数の因数分解です。
もちろん因数分解の方が難しいわけです。
三角関数の合成を徹底分析する!
\(- \sin \theta +\sqrt{3} \cos \theta\) を \(r\sin (\theta+\alpha)\) の形で表しなさい。
ただし、\(0 \leqq \alpha \lt 2\pi\) とする。
問題作成者はどうやってこの問題を作っているかというと、
答えを先に決めます。
ちなみにこの問題の答えは
\(2\sin (\theta+120°)\) です。
※度数法でいきます。弧度法の負荷は今はなしで、合成に集中しましょう。
これが答えになるように、先の問題を作っていきますよ。
\(2\sin (\theta+120°)\) を加法定理でバラバラにします。
\(2\sin (\theta+120°)=2\sin \theta \cos 120°+ 2\sin 120° \cos \theta\)
\(\cos 120°=-\displaystyle \frac{1}{2}\)
\(\sin 120° = \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2} \)
なので、
\(2\sin (\theta+120°)=2×(-\displaystyle \frac{1}{2}) \sin \theta + 2×( \displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}) \cos \theta\)
\(2\sin (\theta+120°)=-\sin \theta +\sqrt{3}\cos \theta\)
です。
これで問題ができました。
右辺のみを見せて、左辺の形に変形せよ、と出題するわけです。
\(r=2\) と \( \alpha =120°\) を求めろ、という問題なのです。
ですから、どうやって三角関数の合成をするのかというと
今見てきた流れを逆にたどるのです。
改めて問題として提示します。
\(- \sin \theta +\sqrt{3} \cos \theta\) を \(r\sin (\theta+\alpha)\) の形で表しなさい。
ただし、\(0 \leqq \alpha \lt 2\pi\) とする。
では解いて行きますよ!
①\(r\sin (\theta+ \alpha)=r\sin \theta \cos \alpha+r\cos \theta \sin \alpha\)
②\(r\sin (\theta+ \alpha)=- \sin \theta +\sqrt{3} \cos \theta\)
①と②が等しくなるように係数を比較します。
①\(r\sin (\theta+ \alpha)=\)\(r\)\(\sin \theta\) \(\cos \alpha\)\(+\)\(r\)\(\cos \theta\)\( \sin \alpha\)
②\(r\sin (\theta+ \alpha)=\)\(-\)\( \sin \theta +\)\(\sqrt{3}\)\( \cos \theta\)
赤い部分に注目すれば、
\(r\cos \alpha =-1\)
青い部分に注目すれば、
\(r\sin \alpha = \sqrt{3}\)
これらを満たす \(r\) と \( \alpha \) を探せばいいわけです。
\(r\) と \( \alpha \) は、
半径 \(r\) の円周上から見つけます。
単位円ばっかり使ってきたのですが、
三角関数の合成においては半径 \(r\) の円を使う!
覚えちゃってください。
\(\cos \theta\) は \(x\) 座標
\(\sin \theta\) は \(y\) 座標
あたりまえですね!
水色の直角三角形は、辺の比と角度を暗記している有名三角形ですね。
\(r=2\)
\( \alpha=120° \) と求まりました。
これで合成が完了したわけです!!
※ \(r\) は三平方の定理から求めても可。
つまり、
\(- \sin \theta +\sqrt{3} \cos \theta=2\sin (\theta+120°)\)
例題2
\(2 \sin \theta+ 2 \cos \theta\) を \(r\sin (\theta+ \alpha)\) の形で表しなさい。
ただし、\(0 \leqq \alpha \lt 2\pi\) とする。
解説
「合成は加法定理の逆」とまず暗記です。
加法定理の式と、係数の比較をします。
①\(r\sin (\theta+ \alpha)=r\sin \theta \cos \alpha+r\cos \theta \sin \alpha\)
②\(r\sin (\theta+ \alpha )=2 \sin \theta+ 2 \cos \theta\)
①\(r\sin (\theta+ \alpha)=\)\(r\)\(\sin \theta\) \(\cos \alpha\)\(+\)\(r\)\(\cos \theta\)\( \sin \alpha\)
②\(r\sin (\theta+ \alpha)=\)\(2\)\( \sin \theta +\)\(2\)\( \cos \theta\)
よって、
\(r\cos \alpha=2\)
\(r\sin \alpha=2\)
これを満たす \(r\) と \( \alpha \) は、
半径 \(r\) の円周上から見つけます。
水色の直角三角形は、辺の比と角度を暗記している有名三角形ですね。
\(r=2\sqrt{2}\)
\( \alpha=45° \) と求まりました。
つまり、
\(2 \sin \theta +2 \cos \theta=2\sqrt{2}\sin (\theta+45°)\)