同じものを含む順列
同じものを含む順列
\(n\) 個のもののうち、同じものがそれぞれ \(p\) 個、\(q\) 個、\(r\) 個・・・であるとき、これら \(n\) 個のものを \(1\) 列に並べる並べ方の総数は
\(\displaystyle \frac{n!}{p!q!r!\cdots}\)
ただし、\(n=p+q+r\cdots\)
例
\(a,a,a,b,b,c\) の \(6\) 文字を \(1\) 列に並べる並べ方の総数
\(\displaystyle \frac{6!}{3!2!1!}=60\)(通り)
公式丸暗記で、適切に使いこなせるならそれはそれでOKですが、
そもそもなぜこの公式になるのか、という成り立ちから考えていくと、
自然に公式と同一の計算となります。
なぜこの公式なのかという理屈を理解、暗記すれば、公式を忘れても大丈夫なので、
やはり、なぜなのかを押さえておいて欲しいと思います。
なぜこの公式なのか・その1
「同じもの」を、まずは区別して並べましょう。
\(a_{ 1 },a_{ 2 },a_{ 3 },b_{ 1 },b_{ 2 },c\)
を1列に並べると、
\(_6 \mathrm{ P }_6=6!\) 通り
この中で、本来なら \(a\) を区別していないため、重複しているものがあります。
例えば、\(aaabbc\) という並びは
\(a_{ 1 },a_{ 2 },a_{ 3 },b,b,c\)
\(a_{ 1 },a_{ 3 },a_{ 2 },b,b,c\)
\(a_{ 2 },a_{ 1 },a_{ 3 },b,b,c\)
\(a_{ 2 },a_{ 3 },a_{ 1 },b,b,c\)
\(a_{ 3 },a_{ 1 },a_{ 2 },b,b,c\)
\(a_{ 3 },a_{ 2 },a_{ 1 },b,b,c\)
で \(3!=6\) 回重複しています。
また、\(b\) も本来なら区別がないため \(2!=2\) 回重複しています。
つまり、
\(a_{ 1 },a_{ 2 },a_{ 3 },b,b,c\)
も、
\(a_{ 1 },a_{ 2 },a_{ 3 },b_{ 1 },b_{ 2 },c\)
\(a_{ 1 },a_{ 2 },a_{ 3 },b_{ 2 },b_{ 1 },c\)
という\(2\) 通りなのです。
つまり、\(1\) つの並び方につき、\(6×2=12\) 回の重複をしています。
改めて見れば、
\(a\) が \(3\) 個で \(3!\) の重複
\(b\) が \(2\) 個で \(2!\) の重複
\(c\) が \(1\) 個で \(1!\) の重複(これは重複なしです)
よって、
\(\displaystyle \frac{6!}{3!2!1!}=60\)(通り)
なぜこの公式なのか・その2
\(a,a,a,b,b,c\) の \(6\) 文字を入れる場所が、一列に \(6\) 個並んでいると考えます。
まず \(3\) 個の \(a\) を入れましょう。
\(1,2,3\) と入れる、 \(1,2,4\) と入れたり、入れ方は様々ですが、
「異なる \(6\) か所から、\(a\) を入れる \(3\) か所を選ぶ」
わけですから、組合せの公式そのままで
\(_6 \mathrm{ C }_3=20\) 通りです。
次に、残った \(3\) か所から \(b\) を入れる \(2\) か所を決めます。
これも組合せの公式そのままで
\(_3 \mathrm{ C }_2=3\) 通り
最後に残った \(1\) 箇所に、自動的に \(c\) が入るので、\(1\)通り、
あえて書けば、\(_1 \mathrm{ C }_1=1\) 通り
よって、\(20×3×1=60\) 通りと求まりました。
\(_6 \mathrm{ C }_3×_3 \mathrm{ C }_2×_1 \mathrm{ C }_1\)\(=\displaystyle \frac{6×5×4}{3×2×1}×\displaystyle \frac{3×2}{2×1}×\displaystyle \frac{1}{1}\)\(=\displaystyle \frac{6!}{3!2!1!}=60\)(通り)
まさに公式そのままとなっています。
参考
\(a,b,c\) の順に入れましたが、どの文字から入れてもかまいません。
\(c,b,a\) の順に入れてみましょう。
\(6\) か所から、\(c\) の入る \(1\) か所を決める \(6\) 通り。
残った \(5\) か所のうち、\(b\) の入る \(2\) か所を選びます。選び方は、
\(_5 \mathrm{ C }_2=10\) 通り
最後に残った \(3\) か所すべてに、\(a\) \(3\) つが自動的に入る。\(1\) 通り
よって\(6×10×1=60\) 通り
重要・グループ分けの問題との類似
\(a,a,a,b,b,c\) の \(6\) 文字を \(1\) 列に並べる並べ方の総数について見てきました。
そこで・・・
この問題は、 \(6\) 人を \(3\) 人, \(2\) 人, \(1\) 人にグループ分けする問題と実は同じ問題であることに気づいたでしょうか?
\(1,2,3,4,5,6\) と番号のついた \(6\) 人が一列に並んでいるとき、
\(a\) という紙を \(3\) 枚、\(b\) という紙を \(2\) 枚、\(c\) という紙を \(1\) 枚、
\(1\) 人に \(1\) 枚ずつ配る、その総数は?
このとき \(6\) 人は \(3\) 人, \(2\) 人, \(1\) 人にグループ分けされますし、
\(a,a,a,b,b,c\) の \(6\) 文字は \(1\) 列に並びます。
実はまったく同じ問題だったのです。
グル―プ分けの問題は組合せの練習問題のページにて解説しています。
混乱しないように、改めて解き比べをして、頭を整理しておきましょう!
例題1
次の問いに答えなさい。
(1)\(a,a,a,b,b,c,c\) の \(7\) 文字を \(1\) 列に並べる並べ方の総数は何通りか。
(2)\(a,b,b,b,b,c\) の \(6\) 文字を \(1\) 列に並べる並べ方の総数は何通りか。
(3)黒玉 \(4\) 個と白球 \(3\) 個を \(1\) 列に並べる並べ方の総数は何通りか。
解説
(1)\(a,a,a,b,b,c,c\) の \(7\) 文字を \(1\) 列に並べる
公式そのままで解けばOKです。
もちろん公式そのものを暗記せず、上で見てきたように、一つずつ論理的に計算を進めていっても良いですし、その方が実力はつきます。
\(\displaystyle \frac{7!}{3!2!2!}=210\)(通り)
(2)\(a,b,b,b,b,c\) の \(6\) 文字を \(1\) 列に並べる
同様に、公式そのままならば、
\(\displaystyle \frac{6!}{4!1!1!}=30\)(通り)
別解
\(1\) から \(6\) の \(6\) 箇所に、\(1\) 文字ずつ入れていきます。
\(a\) を入れる候補は \(6\) 通り、
次に、残った \(5\) 箇所のどれかに、\(c\) を入れます。
残った \(4\) 箇所に、\(b\) を入れれば終了です。
よって、\(6×5=30\) 通り
(3)黒球 \(4\) 個と白球 \(3\) 個を \(1\) 列に並べる
同様に、公式そのままならば、
\(\displaystyle \frac{7!}{4!3!}=35\)(通り)
別解
\(1\) から \(7\) の \(7\) 箇所に、\(1\) つずつ球入れていきます。
白球を入れる \(3\) 箇所を選びます。
その総数は、異なる \(7\) 箇所から \(3\) 箇所を選ぶので、組合せそのものです。
\(_7 \mathrm{ C }_3=\displaystyle \frac{7×6×5}{3×2×1}=35\)(通り)
残った \(4\) 箇所に、黒球を入れれば終了です。
よって、\(35\) 通り
\(2\) 種類しかないときは、組合わせと一致する
先の例題の(3)で見た通りですが、\(2\) 種類のものを並べるときは、組合わせと一致します。
例
\(a,a,a,a,b,b\) の \(6\) 文字を \(1\) 列に並べる並べ方の総数
同じものを含む順列の公式ならば、
\(\displaystyle \frac{6!}{4!2!}=15\)(通り)
あるいは、\(b\) を左から何番目にするか、\(6\) か所の中から \(2\) か所を選べばよいので、\(_6 \mathrm{ C }_2=\displaystyle \frac{6×5}{2×1}=15\)(通り)
例題2
さいころを \(4\) 回投げたとき、出た目の和が \(10\) になるような目の出方は何通りありますか。
解説
\(4\) つの数の和が \(10\) になるものをかき出します。
このとき、出た目の順序は考えません。
組合せのみを考えます。
大きい目がある順でかき出すと、
\((6,2,1,1)\)
\((5,3,1,1)\)
\((5,2,2,1)\)
\((4,4,1,1)\)
\((4,3,2,1)\)
\((4,2,2,2)\)
\((3,3,3,1)\)
\((3,3,2,2)\)
あとは、それぞれの組合わせにおいて、並び替えをします。
例えば、\((6,2,1,1)\)
これは、目の出た順序まで考えれば、\(12\) 通りあります。
同じものを含む順列の公式ならば、
\(\displaystyle \frac{4!}{2!1!1!}=12\)(通り)
\(2,6\) がそれぞれ何番めに出たかを考えれば、\(4×3=12\) 通り。
どのように求めてもかまいません。
それぞれ目の出た順序まで考えれば
\((6,2,1,1)\) のとき \(12\) 通り
\((5,3,1,1)\) のとき \(12\) 通り
\((5,2,2,1)\) のとき \(12\) 通り
\((4,4,1,1)\) のとき \(6\) 通り
\((4,3,2,1)\) のとき \(24\) 通り
\((4,2,2,2)\) のとき \(4\) 通り
\((3,3,3,1)\) のとき \(4\) 通り
\((3,3,2,2)\) のとき \(6\) 通り
すべて足し合わせて、\(80\) 通り