重複順列
重複順列
異なる \(n\) 個のものから、\(r\) 回取って並べる順列のうち、同じものを何回取ってもよいものを、\(n\) 個から \(r\) 個とる重複順列といい、その総数は
\(n^r\)
例1
\(1,2,3\) のカードがそれぞれたくさんある。この中から \(3\) 枚を選び、一列にならべて \(3\) 桁の整数をつくる。何通りつくれるか。
百の位が \(1\) のときが上図です。
\(3×3=9\) 通りです。
百の位が \(1,2,3\) のとき、すべて同様の枝分かれとなるので、
\(9×3=27\) 通り
以上求まりました。
慣れてくれば、
百の位で \(3\) 通り、十の位で \(3\) 通り、一の位で \(3\) 通りの枝分かれがあるので、
\(3^3=27\) 通り
とするのがスマートです。
この、樹形図の規則正しい枝分かれこそが、重複順列の公式そのものなのです。
例 \(2\)
\(1,2,3,4,5\) のカードがたくさんあり、それらを並べて \(2\) 桁の数はいくつできるか。
\(5^2=25\) 通り
公式は、樹形図(全書き出しがどうなるかの想定)から明らかです。
意味もわからないまま公式暗記というのはやめましょう。
また、樹形図のイメージができれば、この公式は自動的に導かれるため、わざわざ暗記する公式とは言えません。
例題1
\(5\) 人の生徒に、オレンジジュースかお茶のどちらか \(1\) つを選択してもらいました。\(5\) 人の生徒の選択は何通りありますか。
解説
何も考えずに公式に当てはめようとすることは絶対にやめましょう。
そもそも、この問題は重複順列なのでしょうか?
樹形図による書き出しをすることで、「おのずと答えを導くための計算がわかる」
このような頭の使い方をしましょう。
では書き出しです。
書き出しのためには、\(5\) 人の生徒に、\(1,2,3,4,5\) と名づけます。
オレンジジュースを \(O\)
お茶を \(T\) として、
\(5\) 人の生徒の選択をかき出すと以下のような樹形図です。
途中まで書いたものです。
これくらい書けば、最後まで書かなくても、樹形図の枝分かれが規則正しいことが実感できますね。
よって、計算で求まることがわかります。
すべて、\(O\) か \(T\) の \(2\) つの枝分かれなので、
\(2^5=32\) 通り
以上求まりました!
例題2
各位の数字が、\(0,1,2,3\) いずれかである \(3\) 桁の整数は何個ありますか。
解説
\(0\) は最高位にはこれません。これに注意しましょう!!
百の位は \(1,2,3\)
十の位は \(0,1,2,3\)
一の位は \(0,1,2,3\)
よって、\(3×4×4=48\) 通り
公式にそのまま当てはめられないから、これは重複順列じゃない!とか馬鹿なことを言わないでくださいね。十の位と一の位は重複順列です。
それに、 「重複順列かそれとも違うのか」、なんてあまりにもどうでもいい話題です。
どんなときでも、樹形図を想定して、計算するのみです。
例題3
集合 \( \{1,2,3\}\) の部分集合の総数を求めなさい。
解説
部分集合とはなんだっけ?という人は数学Ⅰ、命題と集合を学習しましょう。
何はともあれかき出してみます。
要素の個数が \(0\) 個、\(1\) 個、\(2\) 個、\(3\) 個と順にかき出していきます。
\(\phi\)
\(\{1\}\)、\(\{2\}\)、\(\{3\}\)
\(\{1,2\}\)、\(\{1,3\}\)、\(\{2,3\}\)
\(\{1,2,3\}\)
以上、 \(8\) 個です。
これは、実は \(2^3=8\) 個と求めることができます。
以下の樹系図です。
部分集合は、各要素 \(1,2,3\) が、その部分集合に属しているか属していないかで決まります。
すべての要素が属さないとき、その部分集合は要素がない集合となります。これが \(\phi\) という部分集合の定義でしたね。