【センター試験Ⅱ・B】数列・漸化式と数学的帰納法

センター試験・過去問研究

センター試験の過去問を徹底解説します。
センター試験とはどれくらいのレベルの問題が出るのか、どのような出題があるのか、まずは経験値をつみましょう!

数列 \(\{a_n\}\) は

\(a_1=-40,a_{n+1}=|4n-a_n|+2a_n\) \((n=1,2,3,\cdots)\)・・・①

を満たしているとする。\(\{a_n\}\) の一般項を求めよう。

(1) \(a_2=-アイ,a_3=-ウエ\) であるので、最初の \(3\) 項については

\(a_n \leqq 4n\)・・・②

が成り立っている。いま、初項から第 \(m\) 項まで②が成り立っているとすると、
\(n=1,2,\cdots,m\) に対して、①より

\(a_{n+1}-a_n=オn\)
を満たす。よって、\(n=1,2,\cdots,m+1\) に対して

\(a_n=カn^2-キn-クケ\)・・・③

と表される。ここで

\(a_n=カn^2-キn-クケ \gt 4n\)

を満たす最小の自然数 \(n\) は \(コ\) であるので、\(n=1,2,\cdots,コ\) のとき、

\(a_n\) は③で定まる。また、 \(a_{コ}=サシ\) である。

筆者注 続く


解説

まずはサービス問題から。

\(a_1=-40\) なので、

\(a_2=a_{1+1}=|4×1-a_1|+2a_1\)\(=|4-(-40)|+2(-40)=44-80=-36\)

\(a_3=a_{2+1}=|4×2-a_2|+2a_2\)\(=|8-(-36)|+2(-36)=44-72=-28\)

より、アイ=36、ウエ=28

さて、この問題において注目すべきは、
\(a_{n+1}=|4n-a_n|+2a_n\) の絶対値ですね。

絶対値は、その中が正か負か、\(2\) 通りの場合分けが必要になりますよね。

すると、いきなり、

\(a_n \leqq 4n\)・・・② が成り立っている。

とのこと。これはまさに、絶対値記号の中が正であるということですから!

初項から第 \(m\) 項までこれが成り立っているとき、
\(a_{n+1}=|4n-a_n|+2a_n\) の絶対値をそのままはずします。
つまり、
\(a_{n+1}=4n-a_n+2a_n\)
整理すると、
\(a_{n+1}-a_n=4n\)

より、オ=4

これは基本の漸化式ですね。階差数列型の漸化式の基本中の基本。
よって、\(\{a_n\}\) の一般項が求まります。

そしてそれがすぐ次に聞かれていることでもありますね。

\(a_n=a_1+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } 4k\)

\(=-40+4×\displaystyle \frac{1}{2}n(n-1)\)

\(=2n^2-2n-40\)・・・③

より、カ=2、キ=2、クケ=40

次は不等式
\(2n^2-2n-40 \gt 4n\)
を満たす最小の自然数 \(n\) は \(コ\) 、これを求めます。

整理すると、
\(n^2-3n-20 \gt 0\)
一瞬で因数分解できる式ではないので、解の公式で計算してもよいのですが、今回は、穴の形から \(1\) 桁の自然数なので、当てはめで探すのもアリですね。
\(n^2-3n-20 \gt 0\)
\(n^2-3n \gt 20\)
\(n(n-3) \gt 20\) と変形してから当てはめると楽ですね。変形しないでも楽ですけど。

\(n=6\) のとき、\(6(6-3)=18\) で成りたたず、
\(n=7\) のとき、\(7(7-3)=28\) で成りたちます。

より、コ=7

そして、

\(n=1,2,\cdots,コ\) のとき、

\(a_n\) は③で定まる。また、 \(a_{コ}=サシ\) である。

とあるので、③式、\(a_n=2n^2-2n-40\) に \(n=7\) とすれば、

③式、\(a_7=2\cdot 7^2-2\cdot7-40=44\)

より、サシ=44

では後半戦へ!

(2)以下、\(n \geqq コ\) のとき、数列 \(\{a_n\}\) の一般項を求めよう。まず、このとき

\(a_n \gt 4n\)・・・④

であることを数学的帰納法により確かめる。

〔Ⅰ〕\(n=コ\) のとき、 \(a_{コ}=サシ\) であるので、④が成り立つ。

〔Ⅱ〕\(k \geqq コ\) として、\(n=k\) のとき④が成り立つと仮定する。①により、\(a_{k+1}=スa_k-セk\) であるので、 \(a_{k+1} \gt 8k\) となる。また、\(8k \gt 4(k+1)\) であるので、\(n=k+1\) のときにも④が成り立つ。

〔Ⅰ〕,〔Ⅱ〕により、\(n \geqq コ\) のとき、④が成り立つ。

筆者注 続く

やや長文だが、新しく埋める穴は\(a_{k+1}=スa_k-セk\) だけです。

④式、\(a_n \gt 4n\) が成り立つとき、①式、\(a_{n+1}=|4n-a_n|+2a_n\) の絶対値は以下のように外れますね。

\(a_{n+1}=-4n+a_n+2a_n\)
整理すると、
\(a_{n+1}=3a_n-4n\)
\(n=k\) のとき、
\(a_{k+1}=3a_k-4k\)

より、ス=3、セ=4

穴を埋めた後の論理は、一読してピンとこなかったとしても、とにかく次に進みます。センター試験は時間がありませんから。

とにかく、「〔Ⅰ〕,〔Ⅱ〕により、\(n \geqq コ\) のとき、④が成り立つ。 」

ことが成り立つということが書かれています。
これを認めて、次の問題を解いていきましょう。

ちなみに、「\(a_{k+1}=3a_k-4k\) であるので、 \(a_{k+1} \gt 8k\) となる。」の理由は、
\(a_n \gt 4n\)・・・④
より、\(3a_k \gt 3×4k=12k\) なので、
\(a_{k+1}=3a_k-4k \gt 12k-4k=8k\)

「また、\(8k \gt 4(k+1)\) である」
の理由は、\(k \geqq 7\) ですので明らかですね。

では続きです。

したがって、①、④により

\(a_{n+1}=スa_n-セn\) \((n \geqq コ)\)・・・⑤

である。\(b_n=a_{n+1}-a_n\) とおくと、⑤により、\(b_n\) と \(b_{n+1}\) は関係式

\(b_{n+1}=ソb_n-タ\) \((n \geqq コ)\)

を満たし、この関係式は \(b_{n+1}-チ = ツ(b_n-チ)\) と変形できる。

筆者注 続く

ス、セは先ほど求まっています。

\(a_{n+1}=3a_n-4n\) です。

さて、次の式変形は定番解法パターンです。漸化式の処理の有名パターンは、必ず身につけておかないといけません。

\(a_{n+2}=3a_{n+1}-4(n+1)\)
\(a_{n+1}=3a_n-4n\)

上式から下式を引いて、

\(a_{n+2}-a_{n+1}\)\(=3(a_{n+1}-a_n)-4(n+1)-(-4n)\)

\(b_n=a_{n+1}-a_n\) なので、

\(b_{n+1}=3b_{n}-4\)

より、ソ=3、タ=4

そして、次の変形も漸化式の定番解法パターンです。

\(b_{n+1}=3b_{n}-4\)
\(\alpha=3\alpha-4\)

上式から下式を引いて、
\(b_{n+1}-\alpha=3(b_{n}-\alpha)\)

\(\alpha=3\alpha-4\) を解いて、\(\alpha=2\) 、これを代入して、

\(b_{n+1}-2=3(b_{n}-2)\)

より、チ=2、ツ=3

では続きです。

\(b_{コ}=テト\) であるので

\(b_n=ナニ\cdot ツ^{n-コ}+チ\)

である。⑤から、\(b_n=ヌa_n-セn\) なので、\(n \geqq コ\) のとき

\(a_n=\displaystyle \frac{1}{ヌ}(b_n+セn)\)

\(=ネノ\cdot ツ^{n-コ}+ハn+ヒ\)

である。

筆者注 以上

\(ツ\) まではすべて求まっています。どんどん穴には数字を埋めていきながら解いていきましょう。

まずは、\(b_{7}=テト\)

唐突に言われても・・・前にヒントがあるはずなので探します。
\(b_n=a_{n+1}-a_n\) と決めたのですから、
\(b_7=a_8-a_7\) ですね。

では、\(a_8\) や \(a_7\) の求め方は?前を探します。

\(a_7=44\) は \(サシ\) で求めてあります。

次に⑤式、 \(a_{n+1}=3a_n-4n\) \((n \geqq 7)\) により、

\(a_8=3a_7-4×7=3×44-28=104\)
したがって、\(b_7=a_8-a_7=104-44=60\)

より、テト=60

さて、\(n \geqq 7\) で、\(b_{n+1}-2=3(b_{n}-2)\) である。

この漸化式から一般項へ持っていくことも定番中の定番ですね。
\(b_{n}-2\) が公比 \(3\) の等比数列であることを意味しています。

普通に、\(n \geqq 1\) で成り立っているときは
\(b_n-2=3^{n-1}(b_{1}-2)\)

となりますね。
でも今回は、\(n=7\) のときが初項になるように調整します。
\(b_1\) から \(b_n\) までは、公比を \((n-1)\) 回かけるのですが、
\(b_7\) から \(b_n\) までは、公比を \((n-7)\) 回かけますね。

つまり、
\(b_n-2=3^{n-7}(b_{7}-2)\)

\(b_7=60\) を代入して整理すると、

\(b_n=58 \cdot 3^{n-7}+2\)

より、ナニ=58

続いて少し話変わって、

⑤から、\(b_n=ヌa_n-セn\) なので、\(n \geqq コ\) のとき

\(a_n=\displaystyle \frac{1}{ヌ}(b_n+セn)\)

\(=ネノ\cdot ツ^{n-コ}+ハn+ヒ\)

⑤式、 \(a_{n+1}=3a_n-4n\) \((n \geqq 7)\) から、
\(b_n=ヌa_n-4n\)
を導きます。
そもそも\(b_n=a_{n+1}-a_n\) と決めたのですから、

\(b_n=ヌa_n-4n\) は、
\(a_{n+1}-a_n=ヌa_n-4n\)
となります。
⑤式と見比べれば・・・簡単ですね。\(ヌ=2\) で⑤式と同じ式になります。

より、ヌ=2

いよいよ最後の最後です。

\(n \geqq 7\) のとき

\(a_n=\displaystyle \frac{1}{2}(b_n+4n)\)

に、少し前に求めた、\(b_n=58 \cdot 3^{n-7}+2\) を代入して、

\(a_n=\displaystyle \frac{1}{2}(58 \cdot 3^{n-7}+2+4n)\)

\(=29 \cdot 3^{n-7}+2n+1\)

より、ネノ=29、ハ=2、ヒ=1

以上すべて求まりました。