約数の個数・約数が2個、3個、4個のとき

約数の個数

約数が \(4\) 個ある数はどのような数でしょうか。
約数が \(5\) 個ある数はどのような数でしょうか。

このような視点の問題も出題されます。

順に見ていきましょう。

約数が \(2\) 個

約数が \(2\) 個しかない数を「素数」と定義したのですね!
中学校で学習済みのはずです。

素数 \(A\) の約数は、 \(1\) と \(A\) の \(2\) つです。

素数は小さい順に、
\(2,3,5,7,11,13,17,19,\cdots\)
と無限に続きます。

最低限 \(100\) 以下の自然数は、素数かどうか瞬時に判断できるようにしておかないといけません。素数は \(2\) 以外は奇数なので、一の位が \(1,3,5,7,9\) ですが、一の位が \(5\) だと \(5\) の倍数なので、一の位が \(1,3,7,9\) の数だけ調べればOKです。

\(2,3,5,7,11,13,17,19,23,29\) ここまで \(10\) 個
\(31,37,41,43,47,53,59,\)\(61,67,71,73,79,83,89,97\)

\(100\) 以下で \(25\) 個です。
\(91=13×7\) は間違えやすいので覚えておきましょう。

約数が \(3\) 個

約数が \(3\) 個の数は、「素数の平方」です。

素因数分解をしたとき

\(A^2\) ということです。

約数の個数を求める公式では、
\(2+1=3\) 個
です。

\(1,A,A^2\) の \(3\) 個が約数となります。

約数が奇数個

逆に、「平方数ならば、約数は \(3\) 個」は成り立ちません。
注意してください。
正しくは、「平方数の約数は、奇数個」です。きちんと暗記しておきましょう。
「奇数個の約数を持つ数は平方数」も成り立ちます。

平方数である \(36\) の約数をかき出してみましょう。
約数は、普通 \(36=2×18\) のように、\(2\) つセットで見つかります。
しかし、平方数ならば、\(36=6×6\) のように、\(1\) 個だけのときがあるのです。
\(36=1×36\)
\(36=2×18\)
\(36=3×12\)
\(36=4×9\)
\(36=6×6\)・・・これは \(6\) だけ!だから約数の数が奇数になります。

\(36\) の約数は \(9\) 個です。

公式で求めると、
\(36=2^2×3^2\)
より、\((2+1)(2+1)=9\) 個

約数が \(4\) 個

約数が \(4\) 個の数は \(2\) パターンあります。

「素数の立方」
あるいは、
「素数 \(A\) と素数 \(B\) の積」

のどちらかになります。

素数の立方

「素数の立方」を素因数分解をすると、

\(A^3\) ということです。

約数の個数を求める公式では、
\(3+1=4\) 個
となります。


\(8=2^3\) ・・・約数は \(1,2,4,8\)
\(27=3^3\) ・・・約数は \(1,3,9,27\)
\(125=5^3\) ・・・約数は \(1,5,25,125\)

素数 \(A\) と素数 \(B\) の積

「素数 \(A\) と素数 \(B\) の積」を素因数分解をすると、
\(A×B\) ということです。

約数の個数を求める公式では、
\((1+1)(1+1)=4\) 個
となります。


\(6=2×3\) ・・・約数は \(1,2,3,6\)
\(10=2×5\) ・・・約数は \(1,2,5,10\)
\(143=11×13\) ・・・約数は \(1,11,13,143\)

例題1

\(100\) 以下の正の整数の中で、約数を \(4\) 個もつ数を大きい順に \(2\) つ求めなさい。

解説

約数が \(4\) 個の数は、
「素数の立方」
あるいは、
「素数 \(A\) と素数 \(B\) の積」
になります。
順に調べていきます。

\(99=3^2×11\) で約数が \((2+1)(1+1)=6\) 個
\(98=2×7^2\) で約数が \((1+1)(2+1)=6\) 個
\(97\) は素数
\(96\) は明らかに約数たくさん
\(95=5×19\) で約数が \((1+1)(1+1)=4\) 個!!!
\(94=2×47\) で約数が \((1+1)(1+1)=4\) 個!!!
以上、見つかりました。
\(95,94\) が求める答えです。

例題2

\(M\) を正の整数とします。
\(12×M\) の約数が \(12\) 個となる \(M\) を小さい順に \(3\) つ求めなさい。

解説

\(12×M\) の約数の個数は、\(12×M\) を素因数分解することでわかります。

\(M\) を素因数分解したとき、\(2,3\) 以外の素因数を持つか持たないかで場合分けが必要です。

\(M=2^s×3^t\) のとき

まずは単純な方、\(M=2^s×3^t\) のときを調べます。
\(M=2^s×3^t\) のとき
\(12×M=2^{2+s}×3^{1+t}\)

約数の個数は、
\((2+s+1)(1+t+1)=12\)
これを満たす \(0\) 以上の整数の組 \((s,t)\) は、
\((s,t)=(0,2),(1,1),(3,0)\)

つまり、
\((s,t)=(0,2)\) のとき、
\(M=2^s×3^t=2^0×3^2=9\)

\((s,t)=(1,1)\) のとき、
\(M=2^s×3^t=2^1×3^1=6\)

\((s,t)=(3,0)\) のとき、
\(M=2^s×3^t=2^3×3^0=8\)

\(M\) が、\(2,3\) 以外の素因数を持つとき

次に、\(M\) が、\(2,3\) 以外の素因数を持つときを調べます。

ところで、\(12\) を素因数分解すると、
\(12=2^2×3\)

\(12\) の約数は \((2+1)(1+1)=6\) 個です。

つまり、\(12×M\) の約数の個数が \(12\) 個となるためには、
約数の個数を求める公式において、

\((2+1)(1+1)\)\((1+1)\)\(=6×2\) となるしかありません。
つまり、
\(12×M=2^2×3×M\)
※\(M\) が \(2,3\) とは異なる素数

のとき、約数の個数は
\((2+1)(1+1)(1+1)=12\)

よって、\(M=5,7,11,13,\cdots\) となります。

以上より 、
\(M=5,7,11,13,\cdots\) と
\(M=6,8,9\)

これらのときに、\(12×M\) の約数が \(12\) 個となります。

小さい順に
\(5,6,7\)
これが求める答えとなります。