有理数の指数法則
指数をさらに拡張したい!
20 や 2−3 など、
指数を整数全体に拡張しました。
もはや指数は、「何回かけるか」を表す計算規則ではないのです。
こうなったら、もっともっと拡張したくなる、拡張できるのか考える。
これが人間心理でしょう。
つまり、指数が、以下のとき・・・
有理数
無理数
複素数
などです。
結論からいうと、すべて定義されます。
ただし、y=2i のような、指数が複素数になる関数は、高校数学では扱いません。
とてもとても難しい話なのです。
※驚異的なことに、この世界に足を踏み入れると、指数関数と三角関数が融合されるのです。不思議!!
高校数学では、指数が有理数・無理数までを扱います。
※指数が無理数であるときは、ほとんどの場合なんとなく見て見ぬふり程度です。
また、関数となると、底も実数の範囲でしか考えません。
有理数の指数法則
指数が有理数のときを見ていきましょう。
例
312
3 の 12 乗です。
このように、「指数が分数である」とは
どのように定義すればよいのか。
これを見ていきましょう。
ここから先は、an の底 a について、
a>0 ただし a≠1 とします。
指数法則の 1 つである
(am)n=amn
ですが、例えば
a=3
m=12
n=2
ですと
(312)2=312×2=31=3
つまり
312 を 2 乗したら 3 になっています。
2 乗したら 3 になる数は、±√3 ですね。
2 つあります。
ここはもちろん正の数と定義します。
つまり
312=√3
と決めます。
※なんで 312=−√3 じゃダメなんだよ!
って懐疑的になる人はほぼいないと思いますけど。
これは、こうやって定義するとあらゆることが
うまく、すっきり表現できることを調べ終わったあとの
結論なんです。とにかくまずは受け入れましょうね。
同じように考えれば
n 乗して a になる正の実数を a1n と定義することになります。
(a1n)n=a です。
そして、いままで学習してきた指数法則が、
指数が有理数となっても、すべて成立します。
ですから、
n 乗して am になる正の実数は (am)1n なので
(am)1n=am×1n=amn
つまり、
(amn)n=am となります。
例
513×523=513+23=51=5
823=(23)23=23×23=22=4
514×12514=(5×125)14=(54)14=51=5
累乗根
引き続き、an の底 a について、
a>0 ただし a≠1 とします。
上で見たように、
n 乗して a になる正の実数 を a1n と定義しました。
ところで、
2 乗して a になる正の実数、a12 は √a とも表示されます。
中学 3 年のときにならった平方根ですね。
a12=√a です。
これと同じような表記があります。
3 乗して a になる正の実数 a13 は 3√a とも表示されます。
a13=3√a です。
以下同様に
a14=4√a
a15=5√a
つまり、
a1n=n√a
です。
中学以来、慣れ親しんだ √a はいわば 2√a ですが、2 は省略します。
一般に、n を正の整数として、n 乗して a になる数を、a の n 乗根といいます。
2 乗根のことを特別に 、平方根といいます。
3 乗根のことを特別に 、立方根ともいいます。
2 乗根、3 乗根、4 乗根・・・総称して累乗根といいます。
厳密に言うと、
a の n 乗根は複素数の範囲まで考えて n 個あるのですが、
正の実数はただ 1 つだけあります。
それを n√a とします。
累乗根の性質
累乗根に成り立つ計算規則は、基本的に覚える必要はありません。
なぜなら、指数になおして指数法則で計算できるからです。
そして、累乗根よりも、指数の表記に慣れ親しんでおくべきだからです。
例外として
n√an√b=n√ab
は目に焼きつけておくと良いでしょう。
これももちろん指数法則があれば暗記していなくともなんとかなるのですが、
覚えておくと便利です。
n=2 のときは平方根の計算ルールとして、中学以来身についていますから
特別な努力をしなくても身に付きますね。
例1
3√8 を簡単に表記するといくつか。
解答
指数法則うんぬんでなく、わかりますね?
23=8 ですから。
3√8=2 となります。
3√8=t
ならば、 t3=8 となる実数 t を求めればOKです。
例2
(3√3)6 を簡単に表記するといくつか。
解答
n√a=a1n
を用いて指数法則にしてしまうのが基本です。
(3√3)6=(313)6=32=9
例3
次の計算をせよ。
4√5×4√125×3√1283√16
解答
n√a=a1n
を用いて指数法則にしてしまうことと、
n√an√b=n√ab
を使うのが楽です。
4√5×4√125×3√1283√16
=514×12514×3√12816
=(5×125)14×3√8
=(54)14×813
=5×2=10
例4
√3√64
解答
二重根号も指数で表記できます。
指数法則の威力発揮でしょう!
√3√64
=(6413)12
=6413×12
=6416
=(26)16
=2
まとめ
累乗根の計算は、すべて指数に直し、指数法則を利用することをおススメします。
累乗根の計算規則を別に暗記して、それを使う必要はまったくありません。
結局、累乗根の表記は、指数の書き換えにすぎません。
累乗根から指数への書き換えができれば、それでOKなのです。
そして、学習の最終目標は指数関数 y=ax であり、
そのときに累乗根の表記は一切使いません。
累乗根は、一応経験しとかないとまずいからやっときました。
って感じなんです。そんな程度のものです。