等差数列の和

等差数列の和

項数、末項

このページでは、項の数が有限である数列について考えます。
まずは言葉の確認からです。

項が \(n\) 個ある数列

\(a_{ 1 },a_{ 2 },a_{ 3 },\cdots,a_{ n-1 },a_{ n }\)

において \(n\) を項数といいます。
最後の項である \(a_{ n }\) を末項といいます。

等差数列の和

等差数列の初項から第 \(n\) 項までの \(n\) 個の項の和を \(S_{ n }\) とします。

\(S_{ n }=a_{ 1 }+a_{ 2 }+a_{ 3 }+・・・+a_{ n-1 }+a_{ n }\)

のことですね!
この和を簡単に求める公式があります。

等差数列の和

初項が \(a\) で、末項が \(a_{ n }=l\) であるとき、
\(S_{ n }=\displaystyle \frac{1}{2}n(a+l)\)

公差が \(d\) ならば
\(S_{ n }=\displaystyle \frac{1}{2}n\{2a+(n-1)d\}\)

\(2\) つめの式は、末項が \(l=a+(n-1)d\) なので、
それを \(1\) つ目の式に代入したものです。

等差数列の和の例

\(50\) 以下の \(3\) の倍数の和を求めなさい。

解答

求める和を \(S\) とすると、
\(S=3+6+9+12+\cdots+48\)
末項である \(48\) は \(48÷3=16\) より、\(16\) 番目の \(3\) の倍数なので、
この数列には \(16\) 個の項があります。

等差数列の和の公式を適用すると

\(S=\displaystyle \frac{1}{2}\cdot16(3+48)=408\)

等差数列の和の導出

さて、この等差数列の和の公式はどのように導かれるのでしょうか。
求める和の足し算を逆順にした式と、もとの式を上下に並べます。

\(\begin{eqnarray}S &=& \hspace{ 5pt } 3+ \hspace{ 5pt } 6+ \hspace{ 5pt } 9+\cdots+42+45+48・・・① \\ S &=& 48+45+42+\cdots+\hspace{ 5pt }9+\hspace{ 5pt } 6+\hspace{ 5pt } 3・・・② \end{eqnarray}\)
①と②を上下に足せば
\(2S=51+51+51+\cdots+51+51+51\)

つまり、(初項+末項)の \(51\) が項数(この例では \(16\) 個)できます。

\(2S=(初項+末項)×項数\)

ですね。
もちろん得たい和は \(S\) なので \(2\) で割ります。

\(S=(初項+末項)×項数×\displaystyle \frac{1}{2}\)

これで公式を導出できました。

※項数が奇数のときも成り立つの?と気になった人もいるでしょうか?
自分で、具体例で調べてみるのがいいですね。


\(\hspace{ 5pt }S=\hspace{ 5pt }1+\hspace{ 5pt }4+\hspace{ 5pt }7+10+13\)
\(\hspace{ 5pt }S=13+10+\hspace{ 5pt }7+\hspace{ 5pt }4+\hspace{ 5pt }1\)
\(2S=14+14+14+14+14\)
で成り立ちますね

例題

次の等差数列の和を求めなさい。
① 初項 \(1\) 、公差 \(5\) の等差数列の初校から第 \(30\) 項までの和
② \(15,20,25,30,35,・・・,95\) の和

解説

① 初項 \(1\) 、公差 \(5\) の等差数列の初校から第 \(30\) 項までの和
この数列の第 \(30\) 項は、\(1+5(30-1)=146\)

よって、求める和を \(S\) とすると、

\(S=\displaystyle \frac{1}{2}\cdot30(1+146)=2205\)

② \(15,20,25,30,35,・・・95\) の和
\(95=15+5(n-1)\)
より、\(n=17\)
よって、この数列の項数は \(17\) です。

よって、求める和を \(S\) とすると、

\(S=\displaystyle \frac{1}{2}\cdot17(15+95)=935\)

自然数列の和・奇数列の和

次の数列の和を求めなさい。
① 自然数の和 \(1+2+3+4+\cdots+(n-1)+n\) の和
② 奇数の和 \(1+3+5+7+\cdots+(2n-3)+(2n-1)\) の和

解説

① 自然数の和 \(1+2+3+4+\cdots+(n-1)+n\) の和

公差 \(1\) 、初項 \(1\) 、項数 \(n\) の等差数列の和を求めます。

よって、求める和を \(S\) とすると、

\(S=\displaystyle \frac{1}{2}n(1+n)\)

普通、

\(S=\displaystyle \frac{1}{2}n(n+1)\)

とかきます。暗記してしまいたい公式です。

② 奇数の和 \(1+3+5+7+\cdots+(2n-3)+(2n-1)\) の和

公差 \(2\) 、初項 \(1\) 、項数 \(n\) の等差数列の和を求めます。

よって、求める和を \(S\) とすると、

\(S=\displaystyle \frac{1}{2}n\{1+(2n-1)\}\)

\(=\displaystyle \frac{1}{2}n(2n)\)

\(=n^2\)

奇数を \(1\) から順に \(n\) 個足した和は \(n^2\) です。

使用頻度は多くはありませんが、暗記してしまいたい公式です。