展開の応用

分配法則でひたすら計算するのではなく、工夫して展開すべきものを紹介します。

3項の式の展開

例題1

次の式を展開しなさい。
\((x+y-1)^2\)

解説

まともに計算すると \(9\) 回かけ算です。

\(x+y\) を \(1\) かたまりとして扱うのがおススメです。

\(\{(x+y)-1\}^2\)
\(=(x+y)^2-2(x+y)\cdot1+1^2\)
\(=x^2+2xy+y^2-2x-2y+1\)

※\(y-1\) を \(1\) かたまりとしても同様に解決できますね!

例題2

次の式を展開しなさい。
\((x-y+z)(x+y-z)\)

解説

これも、まともに計算すると \(9\) 回かけ算です。
うまくまとめて計算を楽にしましょう。

\((x-y+z)(x+y-z)\)
\(=\{x-(y-z)\}\{x+(y-z)\}\)
\(=x^2-(y-z)^2\)
\(=x^2-(y^2-2yz+z^2)\)
\(=x^2-y^2-z^2+2yz\)
求まりました。

どれとどれをまとめて \(1\) かたまりとして扱うのか。
なんとなく分かるという人はそれで良いのですが、見分け方を伝授します。

前の \((\hspace{ 4pt } )\) と後の \((\hspace{ 4pt } )\) で、各文字で同符号か異符号で分けます。

\(\begin{eqnarray}(x-y+ &z&)(x+y-z) \\ + \hspace{ 6pt } -\hspace{ 6pt } &+& \hspace{ 4pt } +\hspace{ 6pt } +\hspace{ 7pt } -\end{eqnarray} \)

つまり、前後の符号をまとめると、
\(x\) は \(+,+\) で同符号
\(y\) は \(-,+\) で異符号
\(z\) は \(+,-\) で異符号

同符号どうし、異符号どうしをまとめるのがポイントです!
本問は、異符号である、\(y,z\) を \(1\) かたまりとして扱うと良いのです。

例題3

次の式を展開しなさい。
\((a+b-c-d)(a-b+c-d)\)

解説

まともに計算すると \(16\) 回かけ算です。
うまくまとめて計算を楽にしましょう。

どれとどれを \(1\) かたまりとして扱うか、なんとなく分かる人はそれでよし。

先ほど伝授した見分け方を使ってみましょう。
前の \((\hspace{ 4pt } )\) と後の \((\hspace{ 4pt } )\) で、各文字で同符号か異符号で分けます。

\(\begin{eqnarray}(a+b-c-d)(&a&-b+c-d)\\ + \hspace{ 6pt } +\hspace{ 6pt }-\hspace{ 8pt }-\hspace{ 8pt } &+& \hspace{ 4pt } -\hspace{ 8pt } +\hspace{ 7pt } -\end{eqnarray} \)

つまり、前後の符号をまとめると、
\(a\) は \(+,+\) で同符号
\(b\) は \(+,-\) で異符号
\(c\) は \(-,+\) で異符号
\(d\) は \(-,-\) で同符号
同符号である、\(a,d\) を \(1\) かたまり、
異符号である、\(b,c\) を \(1\) かたまりとして扱うと良いのです。

つまり、
\(=\{(a-d)+(b-c)\}\{(a-d)-(b-c)\}\)
\(=(a-d)^2-(b-c)^2\)
\(=(a^2-2ad+d^2)-(b^2-2bc+c^2)\)
\(=a^2-b^2-c^2+d^2-2ad+2bc\)

展開順序の工夫

かけ算の順序を工夫してみると、計算が楽になるパターンです。

例題1

次の式を展開しなさい。
\((a+b)^2(a-b)^2\)

解説

\(=\{(a+b)(a-b)\}^2\)

\(=(a^2-b^2)^2\)

\(=a^4-2a^2b^2+b^4\)

例題2

次の式を展開しなさい。
\((x+1)(x-1)(x^2-x+1)(x^2+x+1)\)

解説

\(=(x+1)(x^2-x+1)×(x-1)(x^2+x+1)\)

\(=(x^3+1)×(x^3-1)\)

\(=x^6-1\)

例題3

次の式を展開しなさい。
\((x+1)(x+2)(x+3)(x+4)\)

解説

\(=(x+1)(x+4)×(x+2)(x+3)\)

\(=(x^2+5x+4)×(x^2+5x+6)\)

\(=\{(x^2+5x)+4\}×\{(x^2+5x)+6\}\)

\(=(x^2+5x)^2+10(x^2+5x)+24\)

\(=x^4+10x^3+25x^2+10x^2+50x+24\)

\(=x^4+10x^3+35x^2+50x+24\)