三角比と式の値
式の値のポイント
三角比の相互関係を利用して、式を簡略化していきます。
- \(\sin^2 \theta +\cos^2 \theta =1\)
- \(\tan \theta=\displaystyle \frac{\sin \theta}{\cos \theta}\)
- \(\tan^2 \theta+1=\displaystyle \frac{1}{\cos^2 \theta}\)
また、
\(\sin 160°=\sin 20°\)
のように、角を小さくすることも重要です。
例題
次の式の値を求めなさい。
\(\sin^2 46°+\sin^2 136° \)
解説
このような問題は、三角比の相互関係の式を利用するという、
解法パターンの暗記です。
そもそも、\(\sin 46°\) なんて値は、求まるわけがないのです。
つまり、式変形をしていくことで、
うまく計算処理ができるようになっている問題でないと、出題されないわけです。
ですから、
「三角比の相互関係の式を用いることで、うまくいくようになっている」
という信念をもとに、与式をいじくっていきます。
解き方がわかってから手を動かすのではなく、
「三角比の相互関係の式を使えるような形に、式をいじくっていく」うちに、いつのまにか答えにたどりつく
そんなタイプの問題です。
解答
相互関係の式は、角がそろっていることが前提ですので、
角をそろえていくことが重要です。
角は小さい方にそろえるのがコツです。
※大きい方にそろえても解けますけど・・・
\(\sin^2 46°+\sin^2 136° \)
\(=\sin^2 46°+\sin^2 (180°-136°) \)
\(=\sin^2 46°+\sin^2 44° \)
\(=\sin^2 46°+\cos^2 46° \)
\(=1\)
求まりました。
つまり、
\(\sin 136°=\cos 46°\)
ということがこの問題のポイントでした。
例題2
次の式の値を求めなさい。
\(\tan 20°\tan 70°-\tan 35°\tan 55° \)
解説
角を小さくしましょう。
きっとそろえられるはずです・・・という希望をもって手を動かします。
\(\tan 20°\tan 70°-\tan 35°\tan 55° \)
\(=\tan 20° \displaystyle \frac{1}{\tan20°}-\tan 35° \displaystyle \frac{1}{\tan35°}\)
\(=1-1\)
\(=0\)
三角比の相互関係を使うまでもなく解決しました。
例題3
次の式の値を求めなさい。
\(1+\displaystyle \frac{1}{\tan^2 \theta}-\displaystyle \frac{1}{\sin^2 \theta}\)
解説
\(\tan \theta=\displaystyle \frac{\sin \theta}{\cos \theta}\)
なので、
\(\tan^2 \theta=\displaystyle \frac{\sin^2 \theta}{\cos^2 \theta}\)
両辺の逆数をとって
\(\displaystyle \frac{1}{\tan^2 \theta}=\displaystyle \frac{\cos^2 \theta}{\sin^2 \theta}\)
これを与式、\(1+\displaystyle \frac{1}{\tan^2 \theta}-\displaystyle \frac{1}{\sin^2 \theta}\) に代入すると、
\(1+\displaystyle \frac{\cos^2 \theta}{\sin^2 \theta}-\displaystyle \frac{1}{\sin^2 \theta}\)
\(=\displaystyle \frac{\sin^2 \theta}{\sin^2 \theta}+\displaystyle \frac{\cos^2 \theta}{\sin^2 \theta}-\displaystyle \frac{1}{\sin^2 \theta}\)
\(=\displaystyle \frac{\sin^2 \theta+\cos^2 \theta-1}{\sin^2 \theta}\)
\(=0\)
これで求まりました!
別解
三角比の相互関係の \(3\) つめの式
\(\tan^2 \theta+1=\displaystyle \frac{1}{\cos^2 \theta}\)
も利用できそうです。
これを式変形していくことで、解決することもできますが、
そもそも、\(\tan^2 \theta+1=\displaystyle \frac{1}{\cos^2 \theta}\) が
\(\tan \theta=\displaystyle \frac{\sin \theta}{\cos \theta}\) を用いて示されるので、
上の解法と大差はありません。
例題4
\(0° \leqq \theta \leqq 180°\) で
\(\sin \theta+\cos \theta=\sqrt{2} \) のとき
\(\sin \theta \cos \theta\) の値を求めなさい。
解説
やってみたらうまくいくだろう、という見切り発車が大事です。
すべてが分かったうえで解き始めるのではなくて、
どうせ今までの知識で解けるように作られているんでしょ、
その範囲からしか出題されないもんね、
という達観を持ってください。
\(\sin^2 \theta+\cos^2 \theta=1\) を使うことになりそうじゃないですか。
だから \(2\) 乗します。
※なんで?という人は、解法パターンの暗記をすればOKです。
\((\sin \theta+\cos \theta)^2=(\sqrt{2})^2 \)
\(\sin^2 \theta+2\sin \theta \cos \theta+\cos^2 \theta=2\)
ここで、
\(\sin^2 \theta +\cos^2 \theta =1\)
を利用すれば
\(1+2\sin \theta \cos \theta=2\)
\(2\sin \theta \cos \theta=1\)
\(\sin \theta \cos \theta=\displaystyle \frac{1}{2}\)