円の方程式・その1
円の方程式
中心 \((a,b)\)、半径 \(r\) の円の方程式は
\((x-a)^2+(y-b)^2=r^2\)
これを「標準形」といいます。
円の方程式(一般形)
標準形を展開すると、
\(x^2+y^2+lx+my+n=0\)
の形になります。これを「一般形」といいます。
「標準形」は、中心と半径がわかる形です。
特に、中心が原点 \((0,0)\) のときは、
\(x^2+y^2=r^2\)
です。
「一般形」は、標準形を展開したもので、
\(x^2+y^2+lx+my+n=0\)
の形になります。
\(l,m,n\) はそれぞれ \(0\) になることもあります。
つまり、
\(x^2+y^2+4x-3y=0\)
や
\(x^2+y^2-5x+4=0\)
や
\(x^2+y^2+2y=0\)
のような円の方程式もあります。
\(x^2\) と \(y^2\) の項は、両方ないと「円」ではなくなります。
また、\(x^2\) と \(y^2\) の係数は等しくないと「円」ではありません。
なぜ?円の方程式
なぜ、\((x-a)^2+(y-b)^2=r^2\) が円を表すのでしょうか。
「まずは深く考えないで覚えてしまえ!」
と思いますが・・・
確認しておきましょう。
まず
\(x^2+y^2=r^2\)
が原点 \((0,0)\) を中心とする半径 \(r\) の円になることを確かめておきましょう。
\(x^2+y^2=r^2\) という式を満たす、無数の点 \(P(x,y)\) を座標平面上にとっていくわけです。
ところで、この式って「三平方の定理」を表していますね。
斜辺 \(PO\) の長さが \(r\) の直角三角形の頂点 \(P\) の座標が、この式
\(x^2+y^2=r^2\) を満たします。
点 \(P\) は、半径 \(r\) の円をえがきますね。
あとは、この円を平行移動すれば、座標平面上のどこにでも円をえがけます。
\(x\) 方向に \(a\)
\(y\) 方向に \(b\)
平行移動させれば、
\((x-a)^2+(y-b)^2=r^2\) となります。
先ほども書いた通りですが、なんとなく雰囲気がわかった程度で、
とにかく「円の方程式を暗記」してしまう、という学習法で構いません。
まずは、慣れてしまいましょう。
基本問題が解けるようになりましょう。
深く考えたくなったら、そのときまた戻ってきて学習すればOKです。
例題1
中心が \((2,-3)\)、半径が \(1\) の円の方程式を求めなさい。
解説
中心と半径がわかるときは標準形を利用します。
\((x-2)^2+\{y-(-3)\}^2=1^2\)
より
\((x-2)^2+(y+3)^2=1\)
です。
例題2
\(x^2+y^2+6x-4y-3=0\) はどのような図形を表すか答えなさい。
解説
まずこの式が、「円の一般形だ!」と
わかるようになっていないといけません。
ポイントは、\(x^2\) と \(y^2\) の項の係数が等しいことです。
※もちろん \(x,y\) 以外に別の文字がないこと、など言いだしたらきりがないですけど。
さて、どのような図形か?という問いに、
「円です!」と答えても、正解とはなりません。
中心と半径を求めろ、と暗に言っているわけです。
「円の一般形」が出てきて、どのような図形を表すか答えろ、ときたら、
中心と半径を求める、つまり、「円の標準形に直せ」
という問題なんだな、と理解してください。
では、一般形を標準形に直します。
このページの最も重要な部分です。
\(x^2+y^2+6x-4y-3=0\)
まず、\(x\) チームと \(y\) チームに分けます。並べ替えます。
\(x^2+6x+y^2-4y-3=0\)
\(x\) チームで平方完成、\(y\) チームで平方完成、
それぞれ別々に行います。
まず \(x\) チームで平方完成
\(x^2+6x\)\(+y^2-4y-3=0\)
\((x+3)^2-9\)\(+y^2-4y-3=0\)
続けて、 \(y\) チームで平方完成、
\((x+3)^2-9+\)\(y^2-4y\)\(-3=0\)
\((x+3)^2-9+\)\((y-2)^2-4\)\(-3=0\)
定数項を右辺に移項してまとめます。
\((x+3)^2+(y-2)^2=16\)
これで標準形への変形が完了です!!
右辺は「半径の \(2\) 乗」なので、
\((x+3)^2+(y-2)^2=4^2\)
とさらに変形します。
よって、
中心が \((-3,2)\)、半径が \(4\) の円
が答えになります。
例題3
\(3x^2+3y^2-6y-1=0\) はどのような図形を表すか答えなさい。
解説
\(x^2\) と \(y^2\) の項の係数が等しいので、「円の一般形」です。
よって、標準形に変形しましょう。
まず、与式を \(3\) で割ります。
\(x^2+y^2-2y-\displaystyle \frac{1}{3}=0\)
\(x\) チームは平方完成が終わっています。\(x\) の \(1\) 次の項がないからです。
\(y\) チームを平方完成します。
\(x^2+\)\(y^2-2y\)\(-\displaystyle \frac{1}{3}=0\)
\(x^2+\)\((y-1)^2-1\)\(-\displaystyle \frac{1}{3}=0\)
定数項を右辺に移項してまとめます。
\(x^2+(y-1)^2=\displaystyle \frac{4}{3}\)
半径の \(2\) 乗が \(\displaystyle \frac{4}{3}\)
なので半径は、
\(\sqrt{\displaystyle \frac{4}{3}}\)
\(=\displaystyle \frac{2}{\sqrt{3}}\)
\(=\displaystyle \frac{2\sqrt{3}}{3}\)
よって、中心が \((0,1)\) で、半径が \(\displaystyle \frac{2\sqrt{3}}{3}\)の円
これが答えです。