微分・多項式の導関数
微分の学習の展望
前回のまとめ
導関数を求めることを微分するといいます。
\(y=f(x)\) の導関数を求めることを
\(y\) を \(x\) で微分するといいます。
導関数を
\(y’\)
\(f'(x)\)
\(\displaystyle \frac{dy}{dx}\)
などで表します。
こんなことを学習してきました。
なんだか難しい話が続いてるなあ・・・
と気が滅入っている人に朗報です。
ここから微分は一気に簡単になります。
ちょろっと公式を覚えて、ちょろっと計算するだけの単元になります。
導関数を楽に求める公式を、このページで学習するからです。
今まで、
「導関数を求めるとはそもそも何か」
「導関数の定義は何か」
など、詳しく学習してきました。
導関数を求めるためには、ちょっと面倒な計算もありました。
とても大事なことを学習してきたわけですが、
微分の主役はここからです。
「微分を使って何ができるのか」という実用面に移っていきます。
※ただし、今までの内容もとても重要です。定義をきちんと理解しているか試す、そのような問題もセンター試験で出題されています。
多項式の微分
基本の導関数
\(x^n\) を微分すると \(nx^{n-1}\) が成り立つ。
つまり、
\((x^n)’=nx^{n-1}\)
※ \(n=0\) のときも \((x^n)’=nx^{n-1}\) 成り立っています。
しかし、定数を微分すると \(0\) と覚えてしまいましょう。
さて、どうして \((x^n)’=nx^{n-1}\) が成り立つのか。
これについては、 後回しです。
とりあえず覚えちゃってください。
数秒で覚えられますね。
最重要公式と思ってください。
めちゃめちゃ良く使いますからね。
微分法の公式
\(k\) が定数のとき
\(y=k f(x)\) を微分すると \(y’=k f'(x)\)
\(y=f(x)\pm g(x)\) を微分すると \(y’= f'(x)\pm g'(x)\)
つまり、
\(3x^2\) を微分すると
\((3x^2)’=3×(x^2)’=3×2x=6x\)
\(-5x^3\) を微分すると
\((-5x^3)’=-5×(x^3)’=-5×3x^2=-15x^2\)
\(ax^4\) を微分すると
\((ax^4)’=a×(x^4)’=a×4x^3=4ax^3\)
微分する文字以外の文字は定数扱いです。
\(3x^2 -2x^5\) を微分すると
\((3x^2 -2x^5)’=(3x^2)’-(2x^5)’\)
\(=3×2x-2×5x^4=6x-10x^4\)
以上です!!
めちゃくちゃ簡単じゃないですか!!
数Ⅱの範囲では、これ以上難しい微分はでてきません。
やや不謹慎なことを言ってしまえば
・上の簡単な微分の計算ルールを覚え、計算ができる。
・微分して得たものが導関数であり、そこから接線の傾きが求められる。
この \(2\) つさえ押さえてしまえば、微分の学習の大半はモノにしたも同然です。
そもそも微分とは何か、その定義は何か、
これらはもちろん大事なことです。
ただし・・・
ではどう利用していけるの?という話とは別です。
定義の学習がどうしても難しい!!という人は
実用の方から学習してしまっても良いでしょう。
ただし、定義の方だってテストに出ますから・・・
そのつもりで。
\((x^n)’=nx^{n-1}\) の証明
\(x^n\) を微分すると \(nx^{n-1}\) になることの証明です。
もちろん、微分の定義にしたがって計算します。
それだけです。
\((x^n)’=\displaystyle \lim_{ h \to 0 } \displaystyle \frac{f(x+h)-f(x)}{h} \)
\(=\displaystyle \lim_{ h \to 0 } \displaystyle \frac{(x+h)^n-x^n}{h} \)
ここで分子にある、\((x+h)^n\) を展開します。
正式には二項定理を用いた表現をします。
二項定理がよくわからない!という人にも理解できるようにかきます。
要点は、\((x+h)^n\) を展開すると、
\(x^n+a_1x^{n-1}h+a_2x^{n-2}h^2+a_3x^{n-3}h^3+・・・a_{n-1}xh^{n-1}+a_nh^n\)
となります。\(a_1,a_2,a_3,\) ・・・\(a_n\) はそれぞれ係数です。
そして、\(x^{n-1}h\) の項の係数 \(a_1\) は \(n\) になります。
※各項の係数 \(a_m\) がいくつであるかは二項定理で学習することになります。
いつかきちんと学習してください。ちなみに \(a_m={}_n \mathrm{ C }_m\) です。
さて、話を戻します。
\(\displaystyle \lim_{ h \to 0 } \displaystyle \frac{(x+h)^n-x^n}{h} \)
\(=\displaystyle \lim_{ h \to 0 } \displaystyle \frac{(x^n+nx^{n-1}h+a_2x^{n-2}h^2+・・・+a_nh^n)-x^n}{h} \)
\(=\displaystyle \lim_{ h \to 0 } \displaystyle \frac{nx^{n-1}h+a_2x^{n-2}h^2+・・・+a_nh^n}{h} \)
\(=\displaystyle \lim_{ h \to 0 } \displaystyle \frac{h(nx^{n-1}+a_2x^{n-2}h+・・・+a_nh^{n-1})}{h} \)
\(=\displaystyle \lim_{ h \to 0 } (nx^{n-1}+a_2x^{n-2}h+・・・+a_nh^{n-1}) \)
\( =nx^{n-1} \)
これで導けましたね!
※\(nx^{n-1} \) 以外の項にはすべて \(h\) があるため、すべて \(0\) になります。