累乗根の補足・負の数の累乗根
累乗根について、もう少しくわしく
改めてかきますが、
この単元の学習の最終目標は指数関数 y=ax なのです。
※もうすぐ指数関数 y=ax を学習します!
指数関数を扱うとき、有理数の指数法則の理解がとても大事になります。
その一方で、累乗根、n√a の数式処理はあまり出てきません。
ずばり書けば
累乗根 n√a がでてくるのは、ほとんどは序盤の計算問題で、それ以外はあまりほとんど出ない。
なのです。
つまり、そのような学習序盤の計算問題の対策として
このページをかきます。
累乗根についての補足、です。
ここに書かれた累乗根のこまごまとした暗記事項は、
正直、優先度が低いと思ってもらって結構です。
累乗根は、指数への書き換えができればOKです。
その後は指数法則で処理しましょう。
n 乗根という言葉の指すものの確認
a の 4 乗根は?
ただし、a>0
このように聞かれたら
4√a
と答えてしまいますよね。
この答え、実は間違いなんです・・・
以前にも書きましたが、
a の n 乗根は複素数の範囲まで考えると n 個あるのです。
n 乗根は複素数の範囲まで考えると n 個
x3=1 の虚数解 ω について学習しましたね?
つまり
1 の 3 乗根は複素数の範囲まで考えると 3 つあります。
また
x2=a の解は ±√a で、a の 2 乗根は 2 つあります。
代数学の基本定理というものがあります。
n 次方程式の解は複素数の範囲まで考えると n 個ある。
つまり、
a の n 乗根は複素数の範囲まで考えると n 個あります。
ですから、
最初の質問
a の 4 乗根は?
に対する解答は、4 つあるわけです。
4√a は 4 乗根 a と読まれることがありますが、注意が必要なんです。
a の 4 乗根は?
と聞かれたら、 4√a と答えたくなってしまいますからね。
例
16 の 4 乗根は?
答えは
2,−2,2i,−2i の 4 つです。
普通は、
16 の 4 乗根のうち、実数解を求めよ、
という実数解限定の指定がつくことが多いので
2 ,−2 と答えればよいのですが、
一応知っておきましょう。
※数学Ⅲの複素数平面を学習すると、このあたりのことが
かなりスッキリ理解できるでしょう。
さらに確認をしておきますが、
4√16=2 であり、
4√16=±2 は間違いです!!
4 種類ある 4 乗根のうち、
n√a という特別な名前をつけるのは、
正の実数解のみです。
2 の平方根は?
と聞かれたら、
±√2 と 2 つを答えますよね。
しかし、√2 はおよそいくつ?
と聞かれたら、
およそ 1.414 と答えますよね。
√2 は正の方だけを表しているからです。
n√a も正の実数だけを表しているのです。
例題
(1)8 の 3 乗根で実数のものは?
(2)81 の 4 乗根で実数は?
(3)132 の 5 乗根で実数は?
解答
(1)8 の 3 乗根で実数のものは、2
(2)81 の 4 乗根で実数は、±3
(3)132 の 5 乗根で実数は、12
n 乗根ですが、
n が偶数なら実数のものは 2 個
n が奇数なら実数のものは 1 個 です。
機械的に規則を覚えるというよりも、当たり前と思えるようになってください。
そして、結果として自然と暗記してしまうことになると思います。
あるいは、常に負の答えがないかどうかをチェックするようにします。
計算をして正のものをを見つけた後に、負でも成り立つかどうか暗算するのです。
8 の 3 乗根として、 2 を見つけたあと、−2 の3 乗が 8 になるか検算します。
符号がうまくいくかどうかだけの検算をすればよいので、一瞬で確かめられます。
負の数のn乗根!
an や n√a について、
今まではずーっと a>0
で話を進めてきました。
え?そうだったけ?って人も多いと思います。
a が正なのか負なのか、特別気にしていなかったという人が多いと思います。
別にそれでOKです。
まずは出題された計算が正確にできるようになることが最重要事項だからです。
そして、a が負の数で出題されることなんて(まず)ないからです。
さらに言うと、
a が負のケースは、最終的にはほとんど考えないからなんです。
なぜならば・・・
この単元の最終学習目標である指数関数 y=ax ですが、
y=ax は a>0 でしか定義しないのです。
anm も a>0 でしか定義しないのです。
a が負のケースなんでどうでもいいんです。
しかし、じつは言うと・・・
n√a は a<0 でも定義されるんです・・・
はっきり言って、無視していいような例外なんです・・・
※無視している参考書もたくさんあります。
例1
3√−125 を簡単に表記せよ。
解説
細かい数学的定義なんて聞かなくたって、
これがいくつなのか求めろと言われれば、
なんとなく求められますよね?
x3=−125
となる x を求めろという意味でしょうから
x=−5 ですね。
もちろん x3=−125 をみたす x は
−5 の他に複素数であと 2 つあるわけですけど、
3√−125=−5
と決めます。
−125 の 3 乗根は?
と聞かれれば、答えは 3 つあるわけですが、
3√−125 はいくつか?
と聞かれれば、−5 と答えればOKです。
例2
4√−16 を簡単に表記せよって・・・できない!
これは実数では存在しません。
x4=−16 の解が実数では無理!はすぐにわかりますね。
※ちなみに、x=√2+√2i,√2−√2i,−√2+√2i,−√2−√2i
つまり、 4√−16 は問題として出題しようもないものであり、
当然ですが、出会うこともありません。
a<0 のとき、n√a はn が奇数のときにしか
出題されません。
偶数のときは実数としては存在しません。
まず、出会うことのない n√−a です。
特に大学入試ではまず出会わないのではないでしょうか?
高校の定期テストで出会うことはありえますが、
上にかいた通りに答えましょう。
難しく考えずに直感的に計算しちゃてください!!