2次関数のグラフ・グラフの平行移動
関数 \(y=f(x)\)
\(2\) 次関数という新しい関数を学習する前段階として、
「関数」の新しい表記を導入します。
一般に、 \(y\) が \(x\) の関数であることを \(f\) などの記号を使って、 \(y=f(x)\)
と表します。
また、関数 \(f(x)\) において、\(x\) に \(a\) を代入した値を \(f(a)\) で表します。
例
\(f(x)=x^2-2x+5\) において、\(f(-3)\) の値は、
\(f(-3)=(-3)^2-2×(-3)+5=20\)
\(y=f(x)\) という表記は、出てきたり出てこなかったりです。
あまり深く考えないで、見慣れてください。
\(2\) 次関数
\(2\) 次関数とはずばり、\(2\) 次式の関数です。
\(y=ax^2+bx+c\)
このような式で表されるものが \(2\) 次関数です。
中学では、\(y=ax^2\) を学習しました。
これは \(x\) の \(2\) 次関数の一部分を学習したということです。
\(b=c=0\) の特殊ケースのみを学習したのです。
ここからは、 \(2\) 次関数すべてを扱っていきます。
つまり、
\(y=3x^2-4x+1\)
とか
\(y=-5x^2+3\)
とか
\(y=x^2-x\)
などです。
\(x\) の \(1\) 次の項や、定数項のあるものたちです。
\(y=ax^2+bx+c\)
これが \(2\) 次関数です。
ただし、\(a \neq 0\) でないと \(2\) 次関数ではありません。
\(y=ax^2\) のグラフの概形
まずは中学数学の復習をしておきましょう。
\(y=ax^2\) のグラフは、
頂点は、原点 \(O\)
軸は \(y\) 軸です。
この曲線は、放物線ともよばれます。
\(y=ax^2\) のグラフの \(a \gt 0\)
下に凸(とつ)なグラフともいいます。
\(y=ax^2\) のグラフの \(a \lt 0\)
上に凸(とつ)なグラフともいいます。
グラフをかくときは、頂点と通る点( \(1\) つか \(2\) つくらい)を曲線(放物線)で結びます。
フリーハンドで概形をかけばよいです。
精密にかくことはできませんし、それが求められることもまずありません。
グラフの概形と平行移動
一般の \(2\) 次関数のグラフがどのようになるのか、具体例を見てみましょう。
例
\(y=2x^2-12x+17\) のグラフの概形を例にします。
どのようなグラフになるのかは、
\(x=0\) のとき \(y=17\)
\(x=1\) のとき \(y=7\)
のように、無数の点をとって、それを結ぶことで得られます。
この作業は、みなさんはやらないでOKです。
やったらどうなるのか、という答えを教えてしまいます。
\(y=2x^2\) のグラフと同じ放物線になります。
そうなんです、「同じ」なんです。
曲線の曲がり具合とか、同じなんです。
ただし、
座標平面上のどこに曲線があるか、が異なります。
\(1\)次関数でも似たようなものでしたね。
\(y=2x\)
と
\(y=2x+4\)
は、
直線そのものは同じで、座標平面上での位置だけが違いましたね。
上で見たように、同じ曲線(グラフ)だけど、位置だけが違う。
これはグラフが座標平面の中を移動したように見なせます。
グラフがどれくらい移動したのかは
\(x\) 軸方向にいくつ
\(y\) 軸方向にいくつ
という \(2\) 方向で見ます。
それぞれ
\(x\) 軸方向の平行移動
\(y\) 軸方向の平行移動
といいます。
先の例でみると
\(y=2x^2-12x+17\) のグラフは
\(y=2x^2\) を
\(x\) 軸方向に \(+3\)
\(y\) 軸方向に \(-1\)
平行移動させています。
グラフの頂点で読みとるのが楽ですね。
一般に、
\(y=ax^2\) と \(y=ax^2+bx+c\) は、まったく同じ曲線で、
座標平面上の位置だけが異なります。
\(x^2\) の係数 \(a\) が同じならば、同じ曲線です。
まずは覚えておきましょう。
平行移動の公式
さて、
\(y=2x^2-12x+17\) のグラフをかくとき、
毎度毎度、無数の点を取っていくのは面倒です。
\(y=2x^2\) を、どれだけ平行移動したのかさえ求まれば
グラフの概形をかくことができます。
つまり、
\(x\) 軸方向に \(+3\)
\(y\) 軸方向に \(-1\)
平行移動させれば、
\(y=2x^2-12x+17\)
になる、ということを
計算で求める方法が知りたいわけです。
ここで、\(y=f(x)\) のグラフの、平行移動の公式を示します。
\(y=f(x)\) のグラフの、平行移動の公式
\(x\) 軸方向に \(+p\)
\(y\) 軸方向に \(+q\)
平行移動すると、
\(y-q=f(x-p)\) になる。
これは、 \(2\) 次関数以外のあらゆる関数に成り立つことです。
今後も様々なところで出会うことになるでしょう。
なぜこれが成り立つのか。
いずれ時間に余裕ができれば別記事で書くこととします。
今は、あらゆる関数に成り立つ重要な性質として覚えてください。
そして、使いこなせるようになってください。
平行移動の具体例
\(y=2x^2\) を
\(x\) 軸方向に \(+3\)
\(y\) 軸方向に \(-1\)
平行移動させてみましょう。
上の公式の通りに式をかくと、
\(y-(-1)=2(x-3)^2\)
この式を変形していくと・・・
\(y+1=2(x^2-6x+9)\)
\(y+1=2x^2-12x+18\)
\(y=2x^2-12x+17\)
となり、確かに成り立っています。
つまり、
\(y=2x^2-12x+17\) のグラフをかきたいとき、
上で見た計算を逆にたどることで、
\(y=2x^2-12x+17\)
を
\(y-(-1)=2(x-3)^2\)
に式変形するわけです。
そうすれば、 \(y=2x^2\) を
\(x\) 軸方向に \(+3\)
\(y\) 軸方向に \(-1\)
平行移動させたグラフをかけばいい!!ということがわかります。
この計算方法の学習は、
次回からです。
\(2\) 次関数のグラフの学習を \(1\) つずつ進めていきましょう。