高次方程式・4次方程式
4次方程式
代数学の基本定理
複素数の範囲で考えると、\(n\) 次方程式は \(n\) 個の解をもつ
※\(m\) 重解を \(m\) 個と数えるとき
つまり、
\(4\) 次方程式は、 \(4\)個の解をもちます。
\(P(x)=0\) の形にして、因数分解をする。
そのために、
・共通因数でくくる。
・公式を適用する。
・おき換えをする。
これらがうまくいかないときは、因数定理を利用して因数分解をします。
※すべての高次方程式が解けるのではなく、上の手順で解けるものだけが、高校生に出題されます。
※\(5\) 次方程式や \(6\) 次方程式も出題されたならば同様に解きますが、まず目にすることはないでしょう。
例題1
次の方程式を解きなさい。
\(x^4-3x^3+4x^2-6x+4=0\)
解説
共通因数でくくる。
公式を適用する。
おき換えをする。
いずれも適用できません。
因数定理を使います。
定数項 \(4\) の約数 \(\pm1,\pm2,\pm4\) が候補です。
\(P(x)=x^4-3x^3+4x^2-6x+4\) とおきます。
\(P(1)=1-3+4-6+4=0\)
なので、\(P(x)\) は \(x-1\) を因数にもちます。
計算をすると、
\(P(x)=(x-1)(x^3-2x^2+2x-4)\)
次に、\(3\) 次式の因数分解をしなくてはなりません。
\(Q(x)=x^3-2x^2+2x-4\) とおきます。
\(Q(x)\) を因数分解します。
ここも因数定理を利用するしかないですね。
\(Q(2)=8-8+4-4=0\)
なので、\(Q(x)\) は \(x-2\) を因数にもちます。
計算すると
\(Q(x)=(x-2)(x^2+2)\)
よって、
\(P(x)=(x-1)(x-2)(x^2+2)\)
\(P(x)=0\) より、
\(x=1,2,\pm\sqrt{2}i\)
例題2
次の方程式を解きなさい。
\(x^4+4x^2-5=0\)
解説
複 \(2\) 次式と呼ばれるパターンですね。
\(x^2=X\) とおくと
\(x^4+4x^2-5=0\)
\(X^2+4X-5=0\)
\((X-1)(X+5)=0\)
\((x^2-1)(x^2+5)=0\)
\((x+1)(x-1)(x^2+5)=0\)
よって、
\(x=-1,1,\pm\sqrt{5}i\)
例題3
次の方程式を解きなさい。
\(x^4+x^2+1=0\)
解説
複 \(2\) 次式と呼ばれるパターンですね。
\(x^4+x^2+1\) には、因数分解の公式が適用できません。
つまり、
\((x^2+p)(x^2+q)\) の形に変形できません。
このようなときは、
\((x^2+p)^2-qx^2\) の形に変形してから、 \(2\) 乗の差の因数分解を使います。
自力で思いつく必要はありません。解法暗記です。
では解きましょう。
\(x^4+x^2+1=(x^2+p)^2-qx^2\)
左辺と右辺を見比べて、係数 \(p,q\) を決定していきます。
まず、定数項が \(1\) なので、
\(p=\pm1\)
どちらがうまくいくかは、計算して確かめるのみです。
\(p=1\) のとき
\(\begin{eqnarray}x^4+x^2+1 &=& (x^2+1)^2-qx^2 \\ &=& x^4+2x^2+1-qx^2\end{eqnarray} \)
より、 \(q=1\)
つまり、
\(x^4+x^2+1=(x^2+1)^2-x^2\)
これはうまくいきましたね
さらに続きの因数分解をしましょう。
\(x^4+x^2+1=(x^2+1)^2-x^2\)
\(=\{(x^2+1)+x\}\{(x^2+1)-x\}\)
\(=(x^2+x+1)(x^2-x+1)\)
したがって、
\(x^4+x^2+1=0\) は、
\((x^2+x+1)(x^2-x+1)=0\)
ということです。
\(x^2+x+1=0\) の解と、
\(x^2-x+1=0\) の解が、求める解となります。
まず、\(x^2+x+1=0\) を解くと、
\(x=\displaystyle \frac{-1 \pm \sqrt{1^2-4\cdot1\cdot1}}{2}\)
\(x=\displaystyle \frac{-1 \pm \sqrt{3}i}{2}\)
次に、\(x^2-x+1=0\) を解くと
\(x=\displaystyle \frac{-(-1) \pm \sqrt{(-1)^2-4\cdot1\cdot1}}{2}\)
\(x=\displaystyle \frac{1 \pm \sqrt{3}i}{2}\)
よって、求める解は、
\(x=\displaystyle \frac{-1 \pm \sqrt{3}i}{2},\displaystyle \frac{1 \pm \sqrt{3}i}{2}\)
ところで \(p=-1\) のときはどうなるのか、一応見ておきましょう。
\(p=-1\) のとき
\(\begin{eqnarray}x^4+x^2+1 &=& (x^2-1)^2-qx^2 \\ &=& x^4-2x^2+1-qx^2\end{eqnarray} \)
より、 \(q=-3\)
つまり、
\(x^4+x^2+1=(x^2-1)^2-(-3)x^2\)
\(=(x^2-1)^2+3x^2\)
これはこれ以上因数分解ができません。