2倍角の公式

2倍角の公式

\(2\) 倍角の公式
\(\sin 2\alpha=2\sin \alpha \cos \alpha\)

\(\begin{eqnarray}\cos 2\alpha &=& \cos^2 \alpha -\sin^2 \alpha \\ &=& 1- 2\sin^2 \alpha \\ &=& 2\cos^2 \alpha-1\end{eqnarray}\)

\(\tan 2\alpha=\displaystyle \frac{2\tan \alpha }{1-\tan^2 \alpha}\)

これらの式はすべて、加法定理から容易に導くことができますので、
無理に暗記しようと努める必要はありません。

アイデアは簡単で、加法定理において、\(\beta=\alpha\) とします。
\(\sin 2\alpha =\sin (\alpha+\alpha)\) ということです。

加法定理より、
\(\sin (\alpha+\alpha)=\sin \alpha \cos \alpha+ \cos \alpha \sin \alpha\)
\(=2\sin \alpha \cos \alpha\)
これで導けました。

他も同様です。

また、余弦の \(2\) 倍角が \(3\) 通りありますが
\(\sin^2 \alpha + \cos^2 \alpha=1\) を使って式変形するだけです。
\(\cos 2\alpha =\cos^2 \alpha -\sin^2 \alpha\) に代入します。
\(\cos 2\alpha =\cos^2 \alpha -\sin^2 \alpha\) を暗記したならば、
残り \(2\) パターンは無理な暗記をせず、導けるようにしましょう。

いずれも、いつでも導けるように練習しておくことが大事です。

たくさんの問題演習をしていくうちに、
受験直前期には自然と暗記しているというのが理想です。

どのくらいの難関大学を受験するのか次第ですが、いわゆる難問が解けるようになるためには、
「たくさん問題練習した」ということが必須です。
このたくさんの練習のうちに、自然と「\(2\) 倍角の公式」も呼吸のごとく使いこなせる、
という状態になっていくものです。

例題1

\(\displaystyle \frac{\pi}{2} \lt \theta \lt \pi\) で

\(\sin \alpha=\displaystyle \frac{1}{3} \) のとき、次の値を求めよ。

(1)\(\sin 2\alpha\)

(2)\(\cos 2\alpha\)

解説

(1)\(\sin 2\alpha\)

\(\sin 2\alpha=2\sin \alpha \cos \alpha\)

なので、\(\cos \alpha\) を求めます。

\(\sin^2 \alpha+ \cos^2 \alpha=1\) より、

\( \cos^2 \alpha=\displaystyle \frac{8}{9} \)

\( \cos \alpha=\pm \displaystyle \frac{2\sqrt{2}}{3} \)

\(\displaystyle \frac{\pi}{2} \lt \theta \lt \pi\) なので、

\( \cos \alpha=- \displaystyle \frac{2\sqrt{2}}{3} \)

これより、
\(\sin 2\alpha=2\sin \alpha \cos \alpha\)
に代入して

\(\sin 2\alpha=2×\displaystyle \frac{1}{3}×(-\displaystyle \frac{2\sqrt{2}}{3}) \)

\(=-\displaystyle \frac{4\sqrt{2}}{9}\)

(2)\(\cos 2\alpha\)

\(\sin^2 2\alpha+ \cos^2 2\alpha=1\) より解く

あるいは、
\(\begin{eqnarray}\cos 2\alpha &=& \cos^2 \alpha -\sin^2 \alpha \\ &=& 1- 2\sin^2 \alpha \\ &=& 2\cos^2 \alpha-1\end{eqnarray}\)

を用いて解く。

どの公式から解いてもOKですが、(1)で自分で求めた値が計算ミスしていたら・・・

ですので、安全なのは問題文で与えられた値である、\(\sin \alpha=\displaystyle \frac{1}{3} \) だけを使って計算する
\(\cos 2\alpha=1- 2\sin^2 \alpha\)
です。

\(\cos 2\alpha=1- 2(\displaystyle \frac{1}{3})^2\)

\(\cos 2\alpha=\displaystyle \frac{7}{9}\)

3倍角の公式

\(3\) 倍角の公式

\(\sin 3\alpha=-4\sin^3 \alpha +3\sin \alpha\)

\(\cos 3\alpha=4\cos^3 \alpha -3\cos \alpha\)


使用頻度は高くないので
必要あらば加法定理から導ければOKです。

一度練習しておきましょう。

\(\sin 3\alpha=\sin (2\alpha+\alpha)\)
に対して加法定理を用います。

\(=\sin 2\alpha \cos \alpha+\cos 2\alpha \sin \alpha\)

\(=2\sin \alpha \cos \alpha \cdot \cos \alpha +(1-2\sin^2 \alpha)\sin \alpha\)

※\(\cos \) の \(2\) 倍角ですが、最終目標が \(\sin\) だけの式にすることなので
\(\cos 2\alpha= 1-2\sin^2 \alpha\) を使用

\(=2\sin \alpha \cos^2 \alpha +\sin \alpha-2\sin^3 \alpha\)

\(=2\sin \alpha (1-\sin^2 \alpha) +\sin \alpha-2\sin^3 \alpha\)

\(=2\sin \alpha -2\sin^3 \alpha +\sin \alpha-2\sin^3 \alpha\)

\(=-4\sin^3 \alpha +3\sin \alpha\)

\(4\) 倍角の公式、\(5\) 倍角の公式・・・は必要ありません。