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弧度法 

弧度法

弧度法の定義

円(おうぎ形)において、半径と等しい弧に対する中心角を
\(1\) ラジアンとする。
この角の表し方を弧度法といいます。
※ラジアンは普通、省略されます。


突然やってきた意味不明な角の定義、弧度法。

上の定義は無理に覚える必要はありません。

何はともあれ \(180°=\pi\) ラジアン、と覚えてもらえればOKです。
そして、ラジアンという単位は普通省略します。
\(180°=\pi\) と暗記します。

ラジアンって・・・
省略?なんでこんな単位あるの?

謎が謎を呼ぶ弧度法ですね。

度数法はただの習慣

ところで、

今までは角度は、\(1\) 回転を \(360°\) とする度数法
慣れ親しんできました。

\(360\) という数が \(2,3,4,5,6,8,9,10\) で割り切れる扱いやすい数だったからでしょう。

しかし・・・

\(1\) 回転を \(360°\) とする!

という決め事は、一歩引いて考えてみれば、数学的な必然ではありません。
ただの約束事です。

「度数法」以外にも、数学的な必然ではなく、ただ習慣で使っているものはたくさんあります。

例えば、

我々は \(1m\) という長さを定義して使っていますが、
長さを測るときに、その \(1m\) を基準にする必然性はありません。
昔の人は 「尺(しゃく)」や「寸(すん)」を使っていました。
アメリカではいまだに フィートやインチを使っています。

あるいは、我々は \(10\) 進法を使っていますが、 \(10\) である必然性もありません。
※人類の指が \(10\) 本だったから、\(10\) に慣れ親しんできただけです。
遥か銀河系の彼方から、\(8\) 本指の宇宙人が地球侵略にやってきて、
支配下におかれた人類は \(8\) 進法の数学を強制させれるってストーリーもあり得ます。

\(1\) 回転を \(360°\) とする度数法は、これらの例と同様に、人類の習慣にすぎません。
数学的必然性で決まったわけではないのです。

ですから、角度を表す他のやり方も探ってみましょう。

いえいえ、探ってみましょう、と書きましたが、みなさんに探ってもらおうとは思いません。

我々凡人が、数分程度考えて出てくるアイデアは、

じゃあ、\(1\) 回転を \(504°\) にする?
\(7\) でも割れるし!

この程度でしょうか。
こういうマイナーチェンジをしても、ほとんど意味はありません。

もっと根本から角度を見直す、画期的な方法をこれから学習します。
それが弧度法です。

弧度法の導入

弧度法とは

「弧の長さで、角の大きさが表せる!!」

というものです。

この革新的なアイデアこそが
弧度法の凄さ、素晴らしさなのですが、
革新的すぎて初学者を混乱させます。

※正確には、弧の長さと半径の比で角の大きさを決めます。

弧の長さと角の大きさは比例する

半径 \(5cm\) のおうぎ形があり、その弧の長さは \(\displaystyle \frac{5}{3} \pi cm\) です。
このおうぎ形の中心角を求めてみましょう。

中心角を \(x\) とすると、

\(5×2× \pi×\displaystyle \frac{x}{360} =\displaystyle \frac{5}{3} \pi \)

よって、
\(x=60°\)

中学生レベルの確認をしただけですけども。

この例題は、別の見方をすれば、
「あるおうぎ形があり、その弧の長さは、半径の \(\displaystyle \frac{1}{3} \pi\) 倍です、
中心角は何度ですか。」

という問題と同じことです。

つまり、半径の値そのものは、中心角には無関係だということです。
半径が何\(cm\) であっても、おうぎ形は相似なので、角の大きさに影響はありません。

半径と、弧の長さの比で、おうぎ形の中心角は決まります。

弧の長さと中心角は比例するので、例えば下の表のようになります。

この表の右が、われわれの慣れ親しんだ「度数法」です。

この表の左が、この単元の主役、「弧度法」です!!

つまり、今まで \(60°\) と呼んでいた角の大きさを、\(\displaystyle \frac{\pi}{3}\) と呼ぶのです。

弧度法の単位

弧度法は、弧の長さ \(cm\) を半径の長さ \(cm\) で割った値です。
\(cm÷cm\) なので、単位(次元)はありません。
純粋な比率です。
※円周率に単位がないようなものです。

「ラジアン」という単位がありますが、基本的に一切使いません。

弧度法ってなんなの?

ところで・・・
弧度法の何がどう画期的なのか、ぜんぜんわからないんですけど・・・

という感想を持っている人。

それで正解です。
現段階で、弧度法の革新性などわかるはずもありません。

そもそも、上の弧度法の定義も先人たちの苦闘の歴史の中でようやく生まれたものです。

先人たちは、弧度法のない中、ひたすら計算やらなんやら研究をしていきました。
その末に、ようやく弧度法を見つけたのです。

「ああ、弧度法が最もシンプルで美しい角の定義なんだ・・・」って

我々は、その先人たちの見つけた果実をいただくのみです。
とにかく信じて、弧度法に慣れ親しみましょう。

弧度法はとにかく慣れです。
考えるより慣れろ!です。
今日から、メートルという長さの単位はやめて、フィートにするよ、
と言われれば・・・
とにかく慣れていくしかありません。
弧度法に慣れるというのも、その程度のことです。

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