数字と数
「数字」と「数」の違いはご存じでしょうか?
数字は、文字通り「字」であり、この字を使って、「数」を表しています。
つまり、
\(324\) という「数」を表すために、
\(3\) と \(2\) と \(4\) という「数字」を使っています。
\(7\) という「数」を表すために、
\(7\) という「数字」を使っています。
\(10\) 種類の数字
我々は数字を \(10\) 種類使っています。
\(0,1,2,3,4,5,6,7,8,9\) の \(10\) 種類です。
たった、\(10\) 種類の「数字」で、無限にある「数」をどのように表しているのか。
みなさんが幼児の頃から覚えてきたやり方、「位取り」です。
\(9\) より \(1\) つ大きい数を \(10\) と表しますね。
このように \(2\) 桁の数という表現方法・ルールを定めたわけです。
もちろん、\(3\) 桁、\(4\) 桁、・・・と桁数をいくらでも増やしていくことで無限の数を表記できるようになっています。
\(10\) は特別な数なのか?
なぜ我々は \(10\) 種類の数字を使っているのでしょうか。
なぜ、\(10\) で\(2\) 桁にすると決めたのでしょうか。
\(9\) 種類や \(8\) 種類や \(11\) 種類の数字を使う世界はダメなのでしょうか。
この問いに対するよくある間違いとして、
\(10\) はキリの良い数だから
という答えがありますが、これは間違いです。
下図を見てください。
「キリの良い数」とはどれのことなのでしょう?
どれが特別キリが良いということもない。
ということがわかりますね。
そもそも一瞬で、どれが \(10\) なのかさえ判別できませんね。
そして、そもそもキリが良い、とは何を表す言葉なんのでしょうか?
「\(10\) はキリの良い数」
というのは、数学的必然や自然界の摂理ではありません。
我々が、\(10\) をキリの良い数と感じる理由は、
「\(10\) をキリの良い数」と決めた世界の中で産まれ、幼き日から \(10\) をキリの良い数として数えるように訓練された結果です。
順序が逆なのです。
では、我々の祖先はなぜ 「\(10\) をキリの良い数」と決めたのか、昔の人は、なぜ \(10\) を選んだのでしょうか?
指の数が \(10\) 本だったから
というのが定説です。言語がまだ発達する前の時代から、指を折って数を数え、それを周りの人に伝達していたことは容易に想像できます。
数学的必然性ではなく、我々にとって \(10\) はとても馴染み深いものだったから \(10\) を特別視する文化が発展していったということです。
※ \(12\) を特別視していた文化やその名残もあります。時計が代表的でしょう。
\(N\) 進法
\(10\) 種類の数字で数を表す方法を、\(10\) 進法といいます。
\(0,1,2,3,4,5,6,7,8,9\) の \(10\) 種類の数字です。
我々は \(10\) 進法の世界にどっぷり浸かって生きているわけです。
ところで・・・
\(2\) 桁表記にする数を、\(10\) ではない別の数にしても問題はありません。
繰り返しになりますが、\(10\) は特別な数でもなんでもありません。
\(0,1\) の \(2\) 種類の数字で数を表す方法を、\(2\) 進法といいます。
\(0,1,2\) の \(3\) 種類の数字で数を表す方法を、\(3\) 進法といいます。
\(0,1,2,3\) の \(4\) 種類の数字で数を表す方法を、\(4\) 進法といいます。
これは何種類の数字でもOKです。
\(N\) 種類の数字で数を表す方法を、\(N\) 進法といいます。
\(4\) 進法
一例として、\(4\) 進法の世界を見てみましょう。
\(0,1,2,3\) の \(4\) 種類の数字で数を表します。
\(10\) 進法との対応表を示します。
\(4\) 進法の世界には、\(4\) という数字はありません。
\(4\) をキリの良い数とし、ここで位をあげます。
\(2\) 桁にするのです。
我々が普段 \(1\) が十個集まると、「ひとまとめ」にしますね。
そして、 \(10\) が十個集まると、「百」として「ひとまとめ」にします。
それと同様に、\(4\) 進法の世界では、
\(1\) が四個集まると、「ひとまとめ」にします。
そして、四が四個集まると、「ひとまとめ」にします。
四を特別な数として扱います。
\(N\) 進法の読み方
\(4\) 進法の \(10\) を「十」と読んではいけません。
これは決して「十」ではないからです。
読み方は特に決まっていませんが、読み方を知らなくて困ることもないでしょう。
\(N\) 進法の書き方
ある数が、\(N\) 進法で表されていることをわかりやすくするために、その数の右下に \((n)\) をつけることがあります。\(10\) 進法であるときは、普通は省略します。
例
\(10\) 進法の \(4\) を、\(4\) 進法で表すと \(10\) となるという式。
\(4=10_{ (4) }\)
\(10\) 進法の \(9\) を、\(4\) 進法で表すと \(21\) となるという式。
\(9=21_{ (4) }\)
例題
\(100_{ (4) }\) を \(10\) 進法で表せ。
解答
上の表の続きを書いていってみましょう。
\(4\) はありません。
\(4\) が使いたくなったところで、ひとつ上の位を増やすのです。
上図のようになります。
\(100_{ (4) }=16\)
\(16\) が答えです。
\(1\) が \(4\) 個集まると繰り上がって \(10_{ (4) }=4\) となります。
同様に、
\(10_{ (4) }=4\) が \(4\) 個集まると繰り上がって \(100_{ (4) }=16\) となります。
これこそが \(n\) 進法の最大のポイントです。
\(n\) 進法の位取りは、\(N^m\) の位となることなのです。
次のページにて見ていきましょう。