階差数列
数列 \(\{a_{ n }\}\) の隣り合う \(2\) 項の差を項とする数列 \(\{b_{ n }\}\) を
数列 \(\{a_{ n }\}\) の階差数列といいます。
一見して規則が見いだせない数列に対しては、
階差数列をとってみることを強くおススメします。
\(\{a_{ n }\} 3,5,10,18,29,43,\cdots\)
この数列の一般項を求めなさい。
等差数列でも等比数列でもない。いったいどのような規則があるのか・・・
このようなときに、階差数列をとります。
例えば、
\(a_{ 4 }=a_{ 1 }+b_{ 1 }+b_{ 2 }+b_{ 3 }\) となっています。
\(18=3+\)\(2\)\(+\)\(5\)\(+\)\(8\)
階差数列 \(\{b_{ n }\}\) は、初項 \(2\) 、公差 \(3\) の等差数列になっています。
\(b_{ n }=3n-1\) です。
また、
\(a_{ n }=a_{ 1 }+b_{ 1 }+b_{ 2 }+b_{ 3 }+\cdots+b_{ n-1 }\)
ですから、\(n \geqq 2\) のとき \(\{a_{ n }\}\) の一般項は
\(a_{ n }=a_{ 1 }+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } b_{ k }\)
\(a_{ n }=3+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } (3k-1)\)
\(=3+3\cdot\displaystyle \frac{1}{2}(n-1)n-(n-1)\)
\(=\displaystyle \frac{1}{2}(3n^2-5n+8)\)
上の例のように、階差数列は簡単に規則が見つかる数列になり、一般項が求まります。
その結果、もとの数列 \(\{a_{ n }\}\) の一般項を求めることができるのです。
ちなみにこれは、「そうすると解けるような数列ばかり出題される」からですよ。
あらゆる数列が上のような性質を持っているわけではありません。
高校生が高校の数学のテスト(大学入試)において出会う数列においての話です。
※階差数列の規則が見つかりにくく、さらのその階差数列をとるような問題も存在します。
さて、上の例ですが、\(n \geqq 2\) のときの \(\{a_{ n }\}\) の一般項、
\(a_{ n }=\displaystyle \frac{1}{2}(3n^2-5n+8)\) が求まりましたが、
\(n=1\) のときがどうなるのか、それはまだ求まっていません。
\(a_{ 1 }=3\) であることは問題で与えられているですが。
ですので、\(n=1\) のときに、\(a_{ n }=\displaystyle \frac{1}{2}(3n^2-5n+8)\) が成立するのかどうか調べます。
\(\displaystyle \frac{1}{2}(3n^2-5n+8)\) に \(n=1\) を代入すると、
\(\displaystyle \frac{1}{2}(3\cdot1^2-5\cdot1+8)=3\)
つまり、 \(n=1\) のときも、\(a_{ n }=\displaystyle \frac{1}{2}(3n^2-5n+8)\) が成立しています。
よって答えは、\(a_{ n }=\displaystyle \frac{1}{2}(3n^2-5n+8)\) と答えます。
もしも、\(n=1\) のときだけ、成立しないならば、以下のように答えます。
\(n=1\) のとき \(a_{ 1 }=3\)
\(n \geqq 2\) のとき \(a_{ n }=\displaystyle \frac{1}{2}(3n^2-5n+8)\)
例題1
数列、\(1,4,8,13,19,26,\cdots\) の一般項 \(a_{ n }\) を求めなさい。
解説
数列 \(\{a_{ n }\}\) の階差数列を \(\{b_{ n }\}\) とすると
\(\begin{eqnarray}\{a_{ n }\} &\hspace{ 8pt }& 1,\hspace{ 7pt }4,\hspace{ 7pt }8,\hspace{ 7pt }13,\hspace{ 7pt }19,\hspace{ 7pt }26,\hspace{ 7pt } \cdots \\ \{b_{ n }\} &\hspace{ 8pt }& \hspace{ 10pt } 3,\hspace{ 7pt }4,\hspace{ 7pt }5,\hspace{ 11pt }6,\hspace{ 11pt }7,\hspace{ 7pt } \cdots \end{eqnarray}\)
つまり、
\(a_{ n }=1+(\underbrace{3+4+5+\cdots}_{(n-1)個})\)
です。
数列 \(\{b_{ n }\}\) は、初項 \(3\) 、公差 \(1\) の等差数列になっているので、
一般項 \(b_{ n }\) は、 \(b_{ n }=3+1\cdot(n-1)=n+2\)
したがって、\(n \geqq 2\) のとき、
\(a_{ n }=a_{ 1 }+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } b_{ k }=1+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } (k+2)\)
\(=1+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } k+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } 2\)
\(=1+\displaystyle \frac{1}{2}(n-1)n+2(n-1\))
\(=\displaystyle \frac{1}{2}n^2+\displaystyle \frac{3}{2}n-1\)
\(=\displaystyle \frac{1}{2}(n^2+3n-2)\)
この式は \(n=1\) のとき成り立つ。・・・このチェックとても大事です!
よって、\(a_{ n }=\displaystyle \frac{1}{2}(n^2+3n-2)\)
例題2
数列、\(2,3,5,9,17,33,\cdots\) の一般項 \(a_{ n }\) を求めなさい。
解説
数列 \(\{a_{ n }\}\) の階差数列を \(\{b_{ n }\}\) とすると
\(\begin{eqnarray}\{a_{ n }\} &\hspace{ 8pt }& 2,\hspace{ 7pt }3,\hspace{ 7pt }5,\hspace{ 7pt }9,\hspace{ 7pt }17,\hspace{ 7pt }33,\hspace{ 7pt } \cdots \\ \{b_{ n }\} &\hspace{ 8pt }& \hspace{ 10pt } 1,\hspace{ 7pt }2,\hspace{ 7pt }4,\hspace{ 7pt }8,\hspace{ 7pt }16,\hspace{ 7pt } \cdots \end{eqnarray}\)
つまり、
\(a_{ n }=2+(\underbrace{1+2+4+8+\cdots}_{(n-1)個})\)
です。
数列 \(\{b_{ n }\}\) は、初項 \(1\) 、公差 \(2\) の等比数列になっているので、
一般項 \(b_{ n }\) は、 \(b_{ n }=2^{n-1}\)
したがって、\(n \geqq 2\) のとき、
\(a_{ n }=a_{ 1 }+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } b_{ k }=2+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } 2^{k-1}\)
\(=2^{n-1}+1\)
この式は \(n=1\) のとき成り立つ。・・・このチェックとても大事です!
よって、\(a_{ n }=2^{n-1}+1\)