\(2\) 次方程式の解と係数の関係
\(x^2\) の係数が \(1\) の \(2\) 次方程式 \(x^2+bx+c=0\) の \(2\) つの解を \(\alpha,\beta\) とすると
\(x^2+bx+c=(x-\alpha)(x-\beta)\) と因数分解できます。
右辺を展開すれば
\(x^2+bx+c=x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta\)
両辺の係数を見比べて
\(\alpha+\beta=-b\) ・・・解の和と \(x\) の係数は符号違い
\(\alpha\beta=c\) ・・・解の積と定数項は等しい
これを \(2\) 次方程式の解と係数の関係といいます。
一般的には、\(a=1\) とは限定しません。
\(ax^2+bx+c=0\) の \(2\) つの解を \(\alpha,\beta\) とすると、
\(\alpha+\beta=-\displaystyle \frac{b}{a}\)
\(\alpha\beta=\displaystyle \frac{c}{a}\)
\(ax^2+bx+c=a(x-\alpha)(x-\beta)\) から導かれます。
一般の場合も頭に入れつつも、「\(x^2\) の係数が \(1\) のとき」を覚えて利用することをおススメします。
例題1
\(2\) 次方程式 \(2x^2+3x-6=0\) の \(2\) つの解を \(\alpha,\beta\) とするとき、次の式の値を求めなさい。
(1)\(\alpha+\beta\)
(2)\(\alpha \beta\)
(3) \(\alpha^2+\beta^2\)
(4)\(\displaystyle \frac{1}{\alpha}+\displaystyle \frac{1}{\beta}\)
解説
まずは、\(x^2\) の係数を \(1\) にします。
そして、 \(2\) 次方程式の解と係数の関係を使いましょう。
\(2x^2+3x-6=0\)
\(x^2+\displaystyle \frac{3}{2}x-3=0\)
(1)\(\alpha+\beta\)
解の和と \(x\) の係数は符号違いです。
よって、\(\alpha+\beta=-\displaystyle \frac{3}{2}\)
(2)\(\alpha \beta\)
解の積と定数項は等しいので、
\(\alpha\beta=-3\)
(3) \(\alpha^2+\beta^2\)
対称式は基本対称式の組合せに変形する定番パターンです。
\(\alpha^2+\beta^2=(\alpha+\beta)^2-2\alpha\beta\)
より、(1),(2) の結果を代入すると
\((-\displaystyle \frac{3}{2})^2-2\cdot(-3)=\displaystyle \frac{33}{4}\)
(4)\(\displaystyle \frac{1}{\alpha}+\displaystyle \frac{1}{\beta}\)
\(\displaystyle \frac{1}{\alpha}+\displaystyle \frac{1}{\beta}=\displaystyle \frac{\alpha+\beta}{\alpha\beta}\)
より、(1),(2) の結果を代入すると
\(\displaystyle \frac{\alpha+\beta}{\alpha\beta}\)
\(=(\alpha+\beta)÷\alpha\beta\)
\(=-\displaystyle \frac{3}{2}÷(-3)\)
\(=\displaystyle \frac{1}{2}\)
例題2
\(2\) 次方程式 \(x^2-4x+6=0\) の \(2\) つの解を \(\alpha,\beta\) とするとき、 \(2\alpha,2\beta\) を解とする \(2\) 次方程式を \(1\) つ作りなさい。
解説
\(2\alpha,2\beta\) を解とする \(2\) 次方程式の \(1\) つは
\(x^2-(2\alpha+2\beta)x+2\alpha×2\beta=0\)
です。
※この式を実数倍したすべてが、\(2\alpha,2\beta\) を解とする \(2\) 次方程式です。
解と係数の関係から
\(\alpha+\beta=4\)
\(\alpha\beta=6\)
よって、
\(2\alpha+2\beta=8\)
\(2\alpha×2\beta=4\alpha\beta=24\)
より、求める \(2\) 次方程式は \(x^2-8x+24=0\)
例題3
和が\(5\) 、積が \(7\) であるような \(2\) 数を求めなさい。
解説
求める \(2\) 数を\(\alpha,\beta\) とすると、
\(\alpha+\beta=5\)
\(\alpha\beta=7\)
つまり、
\(x^2-5x+7=0\) の解が、\(\alpha,\beta\) である。
方程式を解きます。
\(x=\displaystyle \frac{-(-5)±\sqrt{(-5)^2-4\cdot1\cdot7}}{2\cdot1}\)
\(=\displaystyle \frac{5\pm \sqrt{3}i}{2}\)
別解
求める \(2\) 数を\(\alpha,\beta\) とすると、
\(\alpha+\beta=5\) ・・・①
\(\alpha\beta=7\)・・・②
ここから、 \(2\) 次方程式の解と係数の関係に持ち込む上の解き方は、「自然な流れ」というよりも、よくこんな解き方気づきましたねという解き方です。
数学において、関係式が \(2\) つ、未知数が \(2\) つあれば、連立して解くのが一般的(どんなときも使える汎用性のあるやり方)です。
① \((\alpha=-\beta+5)\) を ② \((\alpha\beta=7)\) に代入すると
\((-\beta+5)\beta=7\)
\(-\beta^2+5\beta=7\)
\(-\beta^2+5\beta-7=0\)
\(\beta^2-5\beta+7=0\)
結局、さきほどの \(2\) 次方程式が得られましたね。
あとはこれを解けば
\(\beta=\displaystyle \frac{5\pm \sqrt{3}i}{2}\)
解のどちらが \(\alpha\) でどちらが \(\beta\) かは問題じゃないのです(定まりません、どちらでもいいのです)。
よって、求める \(2\) 数は \(\displaystyle \frac{5\pm \sqrt{3}i}{2}\) です。