根号のついた不等式
根号のついた不等式は、 \(2\) 乗して大小比較します。
そのさい、\(2\) 乗をする前と後で大小関係が保たれていることが大切です。
そこで、次のことがポイントになります。
\(A \geqq 0,B \geqq 0\) のとき、
\(A \geqq B \Longleftrightarrow A^2 \geqq B^2 \)
つまり、\(A \geqq 0,B \geqq 0\) ならば、
はじめの大小関係と、\(2\) 乗した後の大小関係が同じになるということです。
\(A \geqq 0,B \geqq 0\) のときでないと成り立たないことは、次の例からも明らかでしょう。
例
\(A=1,B=-3\) のとき、\(A^2=1,B^2=9\)
\(A \gt B\)
\(A^2 \lt B^2\)
大小関係が逆転しました。
上の例のような出題はなく、
\(A \geqq 0,B \geqq 0\) か \(A \gt 0,B \gt 0\)
でしか出題されませんが、大小関係の逆転が起きないことを保証することが大事になります。
例題1
\(a \gt 0,b \gt 0\) のとき、次の不等式を証明しなさい。
\(\sqrt{a}+3\sqrt{b} \gt \sqrt{a+9b}\)
解説
このままでは、(左辺)\(-\)(右辺)\(\gt 0\) を示すのは難しいですね。
根号がついている不等式の証明は、両辺の \(2\) 乗で大小比較をしましょう。
\(\underbrace{\sqrt{a}+3\sqrt{b}}_P \gt \underbrace{\sqrt{a+9b}}_Q\)
\(P-Q \gt 0\) を言いたいのですが難しいので、
\(P^2-Q^2 \gt 0\) ・・・①を示します。
\(P^2-Q^2 \gt 0 \Longrightarrow P-Q \gt 0\)
のためには、
\(P \gt 0\) かつ \(Q\gt 0\)・・・②
が必要です。
①、②より、\(P-Q \gt 0\) つまり、\(P \gt Q\)
これが定番の型です!
しっかりと理解・暗記しましょう!!
問題文で②かほぼ②と同一の条件が与えられるので、証明では先にこちらを書くのが普通です。
証明
\(a \gt 0,b \gt 0\) なので、
\(\sqrt{a}+3\sqrt{b} \gt 0\)、\(\sqrt{a+9b} \gt 0\)・・・①
※まずは両辺が \(0\) より大を示します。
(左辺)\(^2-\)(右辺)\(^2=(\sqrt{a}+3\sqrt{b})^2-(\sqrt{a+9b})^2\)
\(=a+6\sqrt{ab}+9b-(a+9b)\)
\(=6\sqrt{ab} \gt 0\)
よって、\((\sqrt{a}+3\sqrt{b})^2 \gt (\sqrt{a+9b})^2\)・・・②
①、②より、
\(\sqrt{a}+3\sqrt{b} \gt \sqrt{a+9b}\)
これで証明終了です。
型をしっかりと覚えて、練習しましょう。
例題2
\(a \gt 0,b \gt 0\) のとき
\(\sqrt{2(a+b)} \geqq \sqrt{a}+\sqrt{b}\)
解説
証明
\(a \gt 0,b \gt 0\) なので、
\(\sqrt{2(a+b)}\gt 0\)、\( \sqrt{a}+\sqrt{b} \gt 0\)・・・①
※まずは両辺が \(0\) より大を示します。
(左辺)\(^2-\)(右辺)\(^2=(\sqrt{2(a+b)})^2-(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2\)
\(=2(a+b)-(a+2\sqrt{ab}+b)\)
\(=a-2\sqrt{ab}+b\)
ここから先の式変形はちょっと難しいですね。
\(a-2\sqrt{ab}+b \gt 0\) を言うのが目標ですから・・・
\(a-2\sqrt{ab}+b = P^2 \gt 0\)
という式変形が第一候補でしょう。
これを思いつくかどうかは、結局は練習量にもとづいた数・式に対する慣れですし、解法暗記とも言えます。
\(a-2\sqrt{ab}+b=(\sqrt{a}-\sqrt{b})^2 \gt 0\)
よって、\((\sqrt{2(a+b)})^2 \gt (\sqrt{a}+\sqrt{b})^2\)・・・②
①、②より、
\(\sqrt{2(a+b)} \geqq \sqrt{a}+\sqrt{b}\)