不等式の証明
\(A \gt B\) の証明は、\(A-B \gt 0\) を示します。
とにかく覚えましょう。
例題1
次の不等式を証明しなさい。
\(x \gt y\) のとき、\(3x-y \gt x+y\)
解説
\(x \gt y\) より、\(x-y \gt 0\) です。
また、
(左辺)\(-\)(右辺)\(=3x-y-(x+y)\)
\(=2x-2y\)
\(=2(x-y) \gt 0\)
ゆえに、\(3x-y \gt x+y\)
例題2
\(a \gt b\) 、\(c \gt d\) のとき、\(ac+bd \gt ad+bc\) を証明しなさい。
解説
\(a \gt b\) より、\(a-b \gt 0\)・・・①
\(c \gt d\) より、\(c-d \gt 0\)・・・②
(左辺)\(-\)(右辺)\(=ac+bd – (ad+bc)\)
\(=ac+bd – ad-bc\)
ここから先どうしたら良いか検討もつきませんよね。
やれることと言えば因数分解くらいでしょうか。
共通因数でくくってみましょう。
何を共通因数とすれば良いかもわからないですね。
とりあえず \(a\) でくくってみましょう。
\(ac+bd – ad-bc\)
\(=a(c-d)+bd-bc\)
残った \(2\) つを \(b\) でくくれば・・・
\(a(c-d)+bd-bc\)
\(=a(c-d)+b(d-c)\)
\(=a(c-d)-b(c-d)\)
\(=(a-b)(c-d)\)
\(a-b \gt 0\)・・・①
\(c-d \gt 0\)・・・②
なので、
\((a-b)(c-d)\) は、(正の数)×(正の数)\(\gt 0\) です。
つまり、
(左辺)\(-\)(右辺)\(=(a-b)(c-d) \gt 0\)
ゆえに、\(a \gt b\) 、\(c \gt d\) のとき、\(ac+bd \gt ad+bc\)
参考1
ゴールまでの道筋は見えなくとも、とりあえず因数分解をしてみたらうまくいきました。
結局は、
\(a-b \gt 0\)・・・①
\(c-d \gt 0\)・・・②
という条件の中、\(0\) 以上であることを示せるものは、
\((a-b)+(c-d)\) か、
これに正の数をかけ合わせたもの
\(p(a-b)+q(c-d)\) ただし、\(p \gt 0,q \gt 0\)
あるいは、
\(p(a-b)(c-d)\) ただし、\(p \gt 0\)
だけだったわけです。
※平方があればまた別です。
参考2
因数分解のさい、とりあえず \(a\) でくくってみましたが、
他のどの文字でくくっても、最後まで因数分解できます。
例えば \(b\) でくくると、
\(ac+bd – ad-bc\)
\(=b(d-c)+ac-ad\)
\(=b(d-c)+a(c-d)\)
\(=-b(c-d)+a(c-d)\)
\(=(a-b)(c-d)\)
すべての文字の次数が同じなので、どの文字で整理しても良いのです。