不定方程式を極める!
前ページで不定方程式の整数解の求め方について、ほぼすべてを説明しました。
さらに詳しく学習して、周辺を固めておきましょう。これで不定方程式マスターになれます。
右辺が \(1\) じゃないときもあるの?
前ページでは、\(ax+by=1\) という不定方程式を見てきました。
そして、\(a,b\) が互いに素であるときに整数解を持つことも確認しました。
ここでは、右辺が \(1\) にならないケースについてみておきましょう。
ケース1
次の不定方程式の整数解を求めなさい。
\(129x+57y=3\)
いかがでしょう。
これは式を \(3\) で割るのです。
\(43x+19y=1\)
\(129,57,3\) の最大公約数が \(3\) だったのです。
これでいつもの \(ax+by=1\) という不定方程式になりました。
あとは同じように解くだけです。
ちなみにこの式は前ページの例題とまったく同じものなので、解く過程は割愛します。
\(t\) を整数として、
\(x=19t+4\)
\(y=-43t-9\)
これが求める一般解です。
ケース2
\(43x+19y=5\)
先ほどのように \(5\) で割れません。どうしたらよいのか・・・
これは、
\(43x+19y=1\)
をまず解くのです。
とにかく、\(ax+by=1\) という不定方程式が基本にあるのだと覚えましょう。
その結果、解の \(1\) つとして、
\(43×4+19×(-9)=1\)
を得ます(くわしくは前ページ例題にて)
この式を \(5\) 倍します。
\(43×20+19×(-45)=5\)
これが、\(43x+19y=5\) の整数解の \(1\) つです。
\((x,y)=(20,-45)\)
よって、\(t\) を整数として、
\(x=19t+20\)
\(y=-43t-45\)
これが求める一般解です。
例題1
センター試験の過去問です。
\(92x+197y=1\)
の整数解 \(x,y\) の組の中で、\(x\) の絶対値が最小になるのは
\(x=アイ\)
\(y=ウエ\)
である。不定方程式
\(92x+197y=10\)
の整数解 \(x,y\) の組の中で、\(x\) の絶対値が最小になるのは
\(x=オカキ\)
\(y=クケ\)
である。
解説
係数が大きいため、直感的に探索するのはたいへんそうです。
ここは互除法によって、機械的に処理をするのが良さそうです。
では、手続き通りに進めていきましょう。
\(197÷92=2\cdots13\)
\(92÷13=7\cdots1\)
より、
\(13=197-92\cdot2\)
\(1=92-13\cdot7\)
上の式を下の式に代入します。
\(1=92-13\cdot7\)
\(1=92-(197-92\cdot2)\cdot7\)
\(1=92-197\cdot7+92\cdot14\)
\(1=92\cdot15-197\cdot7\)
より、\(x=15,y=-7\) という解の \(1\) つが見つかりました。
よって、一般解は \(t\) を整数として、
\(x=197t+15\)
\(y=-92t-7\)
なので、あとは代入して探すだけです。
\(t=0\) のとき、\(x\) の絶対値が最小で、
\(x=15\)
\(y=-7\)
アイ=15、ウエ=-7
では続きです。
\(92x+197y=10\)
先ほど、
\(1=92\cdot15-197\cdot7\)
が得られたので、これを利用しましょう。
両辺を \(10\) 倍すれば、
\(10=92\cdot150-197\cdot70\)
より、\(x=150,y=-70\) という解の \(1\) つが見つかりました。
よって、一般解は \(t\) を整数として、
\(x=197t+150\)
\(y=-92t-70\)
あとは代入して探すだけです。
\(t=-1\) のとき、\(x\) の絶対値が最小で、
\(x=-47\)
\(y=22\)
オカキ=-47、クケ=22