複 \(2\) 次式の因数分解
\(ax^4+bx^2+c\) の形の式を、複 \(2\) 次式といいます。
\(a=1\) の問題がほとんどですし、これが基本となります。
以下、\(a=1\) のとき、\(x^4+bx^2+c\) の因数分解について説明します。
\(x^4+bx^2+c\) は、\(x^2=A\) とおくと、\(A\) の \(2\) 次式 \(A^2+bA+c\) になります。
因数分解の公式を利用して、
\(A^2+bA+c=(A+p)(A+q)\)
のように因数分解できれば、それで解決です。
できないときは、
\(A^2+bA+c=(A^2+p)^2-qA^2\)
の形への変形します。
これは \(2\) 乗の差の形なので、
\((A^2+p)^2-qA^2=(A^2+p+qA)(A^2+p-qA)\)
と因数分解ができます。
具体例を見ていきましょう!
例題1
次の式を因数分解しなさい。
\(x^4-x^2-6\)
解説
\(x^2=A\) とおくと
\(x^4-x^2-6\)
\(=A^2-A-6\)
\(=(A-3)(A+2)\)
\(=(x^2-3)(x^2+2)\)
慣れてきたら、\(x^2=A\) とおかないで、どんどん計算を進めちゃいましょう。
つまり、
\(x^4-x^2-6\)
\(=(x^2-3)(x^2+2)\)
と計算してしまうということです。
※\((x^2-3)(x^2+2)=(x+\sqrt{3})(x-\sqrt{3})(x^2+2)\)
とさらに因数分解できるとも言えますが、特に断りがなければ、ルートは使いません。
例題2
次の式を因数分解しなさい。
\(x^4-3x^2-4\)
解説
\(x^4-3x^2-4\)
\(=(x^2-4)(x^2+1)\)
\(=(x+2)(x-2)(x^2+1)\)
※\(x^2=A\) とおくと
\(x^4-3x^2-4\)
\(=A^2-3A-4\)
\(=(A-4)(A+1)\)
\(=(x^2-4)(x^2+1)\)
\(=(x+2)(x-2)(x^2+1)\)
例題3
次の式を因数分解しなさい。
\(x^4+x^2+1\)
解説
\(x^4+x^2+1\) には、因数分解の公式が適用できません。
つまり、
\((x^2+p)(x^2+q)\) の形に変形できません。
このようなときは、
\((x^2+p)^2-qx^2\) の形に変形します。
解法暗記ですよ。
\(x^4+x^2+1=(x^2+p)^2-qx^2\)
左辺と右辺を見比べて、係数 \(p,q\) を決定していきます。
まず、左辺の定数項が \(1\) なので、
\(p=\pm1\)
どちらがうまくいくかは、計算して確かめるのみです。
\(p=1\) のとき
\(\begin{eqnarray}x^4+x^2+1 &=& (x^2+1)^2-qx^2 \\ &=& x^4+2x^2+1-qx^2\end{eqnarray} \)
より、 \(q=1\)
つまり、
\(x^4+x^2+1=(x^2+1)^2-x^2\)
これはうまくいきましたね。
さらに続きの因数分解をしましょう。
\(x^4+x^2+1=(x^2+1)^2-x^2\)
\(=\{(x^2+1)+x\}\{(x^2+1)-x\}\)
\(=(x^2+x+1)(x^2-x+1)\)
これが求める答えなのですが、\(p=-1\) のときはどうなるのか
見ておきましょう。
\(p=-1\) のとき
\(\begin{eqnarray}x^4+x^2+1 &=& (x^2-1)^2-qx^2 \\ &=& x^4-2x^2+1-qx^2\end{eqnarray} \)
より、 \(q=-3\)
つまり、
\(x^4+x^2+1=(x^2-1)^2-(-3)x^2\)
\(=(x^2-1)^2+3x^2\)
これはこれ以上因数分解ができません。
例題4
次の式を因数分解しなさい。
\(x^4-6x^2+1\)
解説
\(x^4-6x^2+1\) には、因数分解の公式が適用できません。
つまり、
\((x^2+p)(x^2+q)\) の形に変形できません。
このようなときは、
\((x^2+p)^2-qx^2\) の形に変形します。
解法暗記ですね。
\(x^4-6x^2+1=(x^2+p)^2-qx^2\)
左辺と右辺を見比べて、係数を決定していきます。
左辺の定数項が \(1\) なので、
\(p=\pm1\)
どちらがうまくいくかは、計算して確かめるのみです。
\(p=1\) のとき
\(\begin{eqnarray}x^4-6x^2+1 &=& (x^2+1)^2-qx^2 \\ &=& x^4+2x^2+1-qx^2\end{eqnarray} \)
より、 \(q=8\)
つまり、
\(x^4-6x^2+1=(x^2+1)^2-8x^2\)
さらに続きの因数分解をしましょう。
\(x^4-6x^2+1=(x^2+1)^2-8x^2\)
\(=\{(x^2+1)+2\sqrt{2}x\}\{(x^2+1)-2\sqrt{2}x\}\)
\(=(x^2+2\sqrt{2}x+1)(x^2-2\sqrt{2}x+1)\)
うまくいきましたが、根号を使っています。
\(p=-1\) のときはどうなるのか見てみましょう。
\(p=-1\) のとき
\(\begin{eqnarray}x^4-6x^2+1 &=& (x^2-1)^2-qx^2 \\ &=& x^4-2x^2+1-qx^2\end{eqnarray} \)
より、 \(q=4\)
つまり、
\(x^4-6x^2+1=(x^2-1)^2-4x^2\)
これは続きの因数分解が可能ですね。
\(x^4-6x^2+1=(x^2-1)^2-4x^2\)
\(=\{(x^2-1)+2x\}\{(x^2-1)-2x\}\)
\(=(x^2+2x-1)(x^2-2x-1)\)
あれ?
こちら、\(p=-1\) のときも因数分解ができました。しかも、\(p=1\) のときよりもきれいな形かも?
つまり、 \(2\) 通りの因数分解が可能だということです。
どちらも正解なのですが、「有理数の範囲で因数分解せよ」ということならば、
\(p=-1\) のときの、
\((x^2+2x-1)(x^2-2x-1)\)
だけが正解です。
どちらを答えるべきか判断できないような出題ならば、こちらを回答した方が無難です。