サイトアイコン 高校数学の無料オンライン学習サイトko-su-

【センター試験ⅡB】ベクトル01

センター試験・過去問研究

センター試験の過去問を徹底解説します。
センター試験とはどれくらいのレベルの問題が出るのか、どのような出題があるのか、まずは経験値をつみましょう!

平面上の四角形 \(OABC\) において、\(|\overrightarrow{ OA }|=2\)、\(|\overrightarrow{ OB }|=3\)、\(|\overrightarrow{ OC }|=1\)、\(\angle AOB=\angle BOC=60°\) であるとする。

点 \(P\) が

\(\overrightarrow{ PA }\cdot \overrightarrow{ PB }=\displaystyle \frac{5}{4}\)・・・①

を満たしながら動くとき、三角形 \(OCP\) の面積の最小値を求めよう。

以下、\(\overrightarrow{ OA }=\overrightarrow{ a }\)、\(\overrightarrow{ OB }=\overrightarrow{ b }\)、\(\overrightarrow{ OP }=\overrightarrow{ p }\) とおく。

まず、点 \(P\) の動く範囲を考えよう。①は、\((\overrightarrow{ a }-\overrightarrow{ p })\cdot (\overrightarrow{ b }-\overrightarrow{ p })=\displaystyle \frac{5}{4}\) であるから、

\(\overrightarrow{ a }\cdot \overrightarrow{ b }=ア\) に注意すると

\(|\overrightarrow{ p }|^2-(\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b })\cdot \overrightarrow{ p }+\displaystyle \frac{イ}{ウ}=0\)

と書き換えられる。これはさらに

\(|\overrightarrow{ p }-\displaystyle \frac{\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b }}{エ}|=\sqrt{オ}\)

と書き換えられる。点 \(M\) を \(\overrightarrow{ OM }=\displaystyle \frac{\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b }}{エ}\) となるように定めると、点 \(P\) は、\(M\) を中心とする半径 \(\sqrt{オ}\) の円周上を動く。

筆者注 続く

解説

まずは図示です。ベクトルは図形の問題ですからね。視覚的にクリアーにしながら解き進めましょう。

下図のようになります。

この図は一発でかけなくてかまいません。
大雑把な下書きを薄く素早くかいたあとに、調整してかくのです。

\(60°\) は正三角形を意識してかかないといけません。
フリーハンドで正三角形をさらっと書く練習は必須ですよ!

さて、\(\overrightarrow{ a }\cdot \overrightarrow{ b }=ア\) ですが、

内積の定義通りに計算するだけです。

\(\overrightarrow{ a }\cdot \overrightarrow{ b }=|\overrightarrow{ OA }||\overrightarrow{ OB }| \cos 60°=2\cdot3\cdot \displaystyle \frac{1}{2}=3\)

より、ア=3

次は、\(|\overrightarrow{ p }|^2-(\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b })\cdot \overrightarrow{ p }+\displaystyle \frac{イ}{ウ}=0\)

直前に、
\((\overrightarrow{ a }-\overrightarrow{ p })\cdot (\overrightarrow{ b }-\overrightarrow{ p })=\displaystyle \frac{5}{4}\) であるから、\(\overrightarrow{ a }\cdot \overrightarrow{ b }=ア\) に注意すると

とあるので、このあたりから導かれそうです。

\((\overrightarrow{ a }-\overrightarrow{ p })\cdot (\overrightarrow{ b }-\overrightarrow{ p })=\displaystyle \frac{5}{4}\)

の左辺を展開します。

\(\overrightarrow{ a }\cdot \overrightarrow{ b }-\overrightarrow{ a }\cdot \overrightarrow{ p }-\overrightarrow{ p }\cdot \overrightarrow{ b }+|\overrightarrow{ p }|^2=\displaystyle \frac{5}{4}\)

\(3-(\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b })\cdot \overrightarrow{ p }+|\overrightarrow{ p }|^2=\displaystyle \frac{5}{4}\)

\(|\overrightarrow{ p }|^2-(\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b })\cdot \overrightarrow{ p }+\displaystyle \frac{7}{4}=0\)

より、イ=7、ウ=4
これはさらに

\(|\overrightarrow{ p }-\displaystyle \frac{\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b }}{エ}|=\sqrt{オ}\)

と書き換えられる。とあります。

よって、式変形によってこの式が導けるようです。

これは平方完成が思いついて欲しい所。

\(|\overrightarrow{ p }|^2-(\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b })\cdot \overrightarrow{ p }+\displaystyle \frac{7}{4}=0\) は、

\(|\overrightarrow{ p }-\displaystyle \frac{\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b }}{エ}|^2={オ}\)
と変形できそうじゃないですか。
\(2\) 次関数の平方完成をするのと同様に式変形をしましょう。

\(|\overrightarrow{ p }|^2-(\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b })\cdot \overrightarrow{ p }+\displaystyle \frac{7}{4}=0\)

\(|\overrightarrow{ p }-\displaystyle \frac{\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b }}{2}|^2-|\displaystyle \frac{ \overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b }}{2}|^2+\displaystyle \frac{7}{4}=0\)・・・①

ここで、
\(|\displaystyle \frac{ \overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b }}{2}|^2\) を求めます。

\(|\displaystyle \frac{ \overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b }}{2}|^2\)

\(=\displaystyle \frac{1}{4}(|\overrightarrow{ a }|^2+2\overrightarrow{ a }\cdot \overrightarrow{ b }+|\overrightarrow{ b }|^2)\)

\(=\displaystyle \frac{1}{4}(2^2+2\cdot3+3^2)\)

\(=\displaystyle \frac{19}{4}\)

これを式①に代入して、

\(|\overrightarrow{ p }-\displaystyle \frac{\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b }}{2}|^2-\displaystyle \frac{19}{4}+\displaystyle \frac{7}{4}=0\)

\(|\overrightarrow{ p }-\displaystyle \frac{\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b }}{2}|^2=3\)

両辺の平方根をとります。明らかに正なので、

\(|\overrightarrow{ p }-\displaystyle \frac{\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b }}{2}|=\sqrt{3}\)

より、エ=2、オ=3

この式は、点 \(P\) が \(AB\) の中点を中心とする半径 \(\sqrt{3}\) の円周上を動くことを示しています。

さて続きです。

次に、点 \(P\) と直線 \(OC\) の距離について考えよう。直線 \(OC\) 上の点 \(H\) を \(\overrightarrow{ OC } \perp \overrightarrow{ MH }\) となるようにとる。実数 \(t\) を用いて
\(\overrightarrow{ OH }=t \overrightarrow{ OC }\) と表すと、\(\overrightarrow{ OC } \cdot \overrightarrow{ MH }=カ\) であることから、\(t=\displaystyle \frac{キ}{ク}\) となる。

このとき、 \(|\overrightarrow{ MH }|=\displaystyle \frac{ケ\sqrt{コ}}{サ}\) であるから、点 \(P\) が①を満たしながら動くとき、点 \(P\) と直線 \(OC\) の距離の最小値は

\(\displaystyle \frac{\sqrt{シ}}{ス}\) となる。

したがって、三角形 \(OCP\) の面積の最小値は \(\displaystyle \frac{\sqrt{セ}}{ソ}\) である。

解説

\(\overrightarrow{ OC } \perp \overrightarrow{ MH }\) なのですから、\(\overrightarrow{ OC } \cdot \overrightarrow{ MH }=0\) はあたりまえですね。

より、カ=0

さて、とりあえず、今までにわかったことを図示しておきましょう。
点 \(P\) が点 \(M\) を中心とする半径 \(\sqrt{3}\) の円周上を動くということがわかったのです。

\(M\) は \(AB\) の中点です。目分量でとります。半径 \(\sqrt{3}\) も目分量で書くしかありませんね。\(\sqrt{3}=1.73\cdots\) は必須知識です。
正しい円をかくことは無理ですから、ここは概略図と割り切ります。

さて、次は \(\overrightarrow{ OH }=t \overrightarrow{ OC }\) の \(t\) を求めます。

点 \(H\) を図示します。ここでは円はいらないですね。

この \(t\) を求めるということは、\(OC\) と \(OH\) の辺の長さの比を求めるということだとわかります。ベクトルを使わなくたって求まりそうですね。

\(M\) は \(AB\) の中点なのですから、下図のようになっています。

つまり、\(AB\) 間の \(OC\) と平行な方向の距離は \(1+1.5=2.5\)
よって、中間地点は \(2.5÷2=1.25\)

つまり、\(OH=1.25-1=0.25\) です。
\(OC=1\) ですから、

\(\overrightarrow{ OH }=\displaystyle \frac{1}{4} \overrightarrow{ OC }\)

より、\(t=\displaystyle \frac{1}{4} \)

キ=1、ク=4

別解

これを図形で解かず、ベクトルの機械的な計算処理で解くと以下のようになります。

直前に
\(\overrightarrow{ OH }=t\overrightarrow{ OC }\)
\(\overrightarrow{ OC } \cdot \overrightarrow{ MH }=0\)

とあるので、これを計算します。

\(\overrightarrow{ MH }=\overrightarrow{ OH }-\overrightarrow{ OM }\) なので、

\(\overrightarrow{ MH }=t\overrightarrow{ OC }-\displaystyle \frac{\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b }}{2}\)

これを内積 \(\overrightarrow{ OC } \cdot \overrightarrow{ MH }=0\) の式に代入すると、

\(\overrightarrow{ OC } \cdot (t\overrightarrow{ OC }-\displaystyle \frac{\overrightarrow{ a }+\overrightarrow{ b }}{2})=0\)

この計算を進めていくと、

\(t=\displaystyle \frac{1}{4} \)

が得られます。

図形的に解けるときは、それを利用しない手はありません。正しい図をかいて解く練習を心がけましょう。

さて続きです。

\(|\overrightarrow{ MH }|=\displaystyle \frac{ケ\sqrt{コ}}{サ}\)

これも図を見ればすぐ解けますね。ベクトルの煩雑な計算をする必要は一切ありません。

クリーム色の三角定規型三角形の高さ、\(\sqrt{3}\) と
赤い三角定規型三角形の高さ、\(\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}\) の半分、\(\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{4}\) の和が、\(HM\) の長さです。

\(MH=|\overrightarrow{ MH }|=\sqrt{3}+\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{4}=\displaystyle \frac{5\sqrt{3}}{4}\)

より、ケ=5、コ=3、サ=4

さて最後のパートです。

点 \(P\) が①を満たしながら動くとき、点 \(P\) と直線 \(OC\) の距離の最小値は

\(\displaystyle \frac{\sqrt{シ}}{ス}\) となる。

したがって、三角形 \(OCP\) の面積の最小値は \(\displaystyle \frac{\sqrt{セ}}{ソ}\) である。

解説

これは図を見れば明らかです。また、図を見ないと無理です。解けません!

円の半径は \(\sqrt{3}\) でしたから、\(MP=\sqrt{3}\)
\(HP=MH-MP=\displaystyle \frac{5\sqrt{3}}{4}-\sqrt{3}=\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{4} \)

より、シ=3、ス=4

また、 三角形 \(OCP\) の面積の最小値は
\(OC×HP×\displaystyle \frac{1}{2}=1×\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{4} ×\displaystyle \frac{1}{2}=\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{8}\)

より、セ=3、ソ=8

モバイルバージョンを終了